『庄兵衞は只漠然と、人の一生というような事を思って見た。人は身に病があると、此病がなかったら思とう。其日其日の食がないと、食って行かれたらと思う。萬一の時に備える蓄がないと、少しでも蓄があったらと思う。蓄があっても、又其蓄がもっと多かったらと思う。此の如くに先から先へと考えて見れば、人はどこまで往って踏み止まることが出来るものやら分からない。』
投資家の心情もほぼ同じで、いま売ると10万円の利益になる株を持っていると、もっと上がるかも知れない、こんなところで売るのは勿体無いと欲が膨らんでくるようになる。ましてやそれが、何かの悪材料が出て少し利益幅が下がり、5万円の利益に減ってしまうと、少し前に一度高いところを見てしまっている影響が、売るという決断を弱めるような感情を働かせ、尚更売れなくなります。そのうち値が崩れて利益が無くなり、やがてマイナスに・・・ というようなことは、よくあるパターンといえます。
儲けて破産した者はない。
この格言は、己の分をわきまえて、あまり欲張ると元も子もなくなくなることにつながるため、やたら欲張るなと言うことです。
