韓国の大田地方裁判所は26日、長崎県対馬市の
観音寺
から2012年に盗まれ韓国内に運び込まれた長崎県指定文化財
「観世音菩薩坐像(ぼさつざぞう)」
について、「数百年前、日本に略奪された」と主張する韓国中部・瑞山(ソサン)の
浮石寺(プソクサ)
が仏像を保管する韓国政府に対し、引き渡しを求めた訴訟で原告側の主張を全面的に認め、韓国政府に仏像を韓国の寺に引き渡すよう命じる判決を言い渡した。
なお、韓国政府側は即日控訴した。
日本政府は観音寺への早期返還を継続して働きかけてきた。
判決確定による日韓関係のさらなる悪化を避けるため、韓国政府は即日控訴した。
韓国外務省報道官は26日の定例会見で政府側の主張が1審では受け入れられなかったと述べ、韓日にはいくつかの困難な問題があるが相互信頼を土台にして共に解決していくことを期待すると続けた。
大田地裁は判決理由として、盗まれた仏像が浮石寺の所有であると十分に推定されると主張した。
正常な方法ではない形で対馬へ搬出されたと見るのが相当だと続けた。
判決文によると、像内にあった文書に売買などの経緯が記されていないことや、像に焼けた痕跡があることが
「略奪された根拠」
と見ることができると根拠の薄い証拠を作り上げて判断した。
像内の文書に高麗時代の1330年を示す年号や「高麗国瑞州浮石寺」と記されていた。
このことなどから、浮石寺は「略奪された」と主張したが、略奪された記録が浮石寺にはそもそもない。
そのため、韓国政府側は「略奪されたとの断定は困難」との立場で反論していた。
菅義偉官房長官は26日の記者会見で、今回の地裁判決について「極めて残念。速やかに仏像が日本に返還されるよう、韓国側に適切な対応を求めていきたい」と不快感を示した。
ひとこと
高麗王朝は中国の元王朝の軍の将軍で女真族の
李成桂
が元王朝内部の権力闘争や明王朝との戦闘で朝鮮半島の支配力を弱めた間隙をぬって元軍を追いだした。
1388年にクーデター(威化島回軍)を起こして高麗の政権を掌握し、1389年に恭譲王を擁立した。
高麗王朝内で親明派官僚の支持を受けて体制を固めたのち1392年に恭譲王を廃して自ら国王に即位し李氏朝鮮を興している。
高麗では仏教が主流であったが建国474年で滅びた。
なお、李氏朝鮮では仏教よりも儒教を重視する政策を推し進め仏教寺院の多くが破壊されている。
1407年(太宗7年)の仏教弾圧の際、存続を許された88の寺院の中に浮石寺の名前がないことなどから、少なくとも15世紀初頭、浮石寺は廃寺になっていた。
仏教弾圧の際に破壊されるのを避けるために持ちだされた可能性の方が大きいだろう。
posted by まねきねこ at 21:41| 愛知 ☀|
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