U.S.シュガー（U.S. Sugar）フロリダ州クレウィストンに本社を置く民間所有の農業企業

U.S.シュガー・コーポレーション（U.S. Sugar Corporation）

　フロリダ州クレウィストンに本社を置く民間所有の農業企業。

　同社はヘンドリー郡、グレイズ郡、マーティン郡、パームビーチ郡にまたがり、23万エーカー以上の土地を耕作している。

　年間70万トン以上を生産し、生産量では米国最大のサトウキビ生産者である。

　また、精製砂糖、スイートコーン、オレンジの大規模生産者でもある。

　U.S.シュガーは、フロリダ・クリスタルズや、会員数54名の

　　　フロリダサトウキビ栽培者協同組合（通称ビッグシュガー）

と並んで、南フロリダにおいて重要な企業とみなされている。

　同社はフロリダ州グレイズ地域で最大規模の雇用創出企業の一つであり、2,500人以上の従業員を雇用している。

　

　所有者

　・自社の年金基金と従業員（推定40%）
　・モット小児保健センター（22%）
　・チャールズ・スチュワート・モット財団（19%）
　・グレーター・フリント地域財団（6%）
　子会社　サザン・ガーデンズ・シトラス

　1931年、実業家で慈善家の

　　　チャールズ・スチュワート・モット（Charles Stewart Mott ）

は、1920年代に倒産したサトウキビ会社

　　　サザン・シュガー・カンパニー

からフロリダ州クレウィストン近郊の資産を購入し

　　　ユナイテッド・ステイツ・シュガー・コーポレーション

を設立した。

　1940年代、U.S.シュガーは奴隷制違反の罪で起訴された。

　モットは後に、自身が設立した

　　　チャールズ・スチュワート・モット財団

に株式を譲渡した。

　1969年の税制改革法により、民間の家族財団が保有できる法人の株式が制限された際、財団は35%の制限を下回る量の株式を、1939年に設立されたミシガン州フリントの慈善医療機関である

　　　モット子供健康センター

に寄付した。
　1962年、同社は

　　　ブライアント・シュガー・ハウス

を開設した。

　これは当時、世界最大かつ最先端のサトウキビ加工工場であった。

　この工場のサトウキビ処理能力は1日あたり5,000トンであった。

　C.S. モットが1973年に亡くなった後、息子の

　　　C.S. ハーディング・モット

が会長に就任した。

　1970年代、砂糖価格が1ポンドあたり60セントとなり、購入者がコーンシロップに切り替えた。

　同社は畜産、柑橘類、野菜など、他の農業分野にも事業を拡大した。

　1980年、U.S.シュガーは

　　　サウスベイ・グロワーズ

を買収した。

　サウスベイ・グロワーズは、レタス、セロリなどの葉物野菜を栽培し、米国の葉物野菜の13%を生産していた。

　1985年後半、U.S.シュガーはオレンジの植樹を開始した。

　1983年、同社は非公開化を目指し、従業員持株制度（ESOP）を導入した。

　U.S.シュガーはESOP設立のために数百万ドルの長期借入金を調達した。

　ただ、一部の株主は株価が低すぎると判断し、株式を売却せず、集団訴訟に発展した。
　1987年10月、ESOPとモットの株主グループは、一般株主500人が保有する残りの11万株の議決権株式を1株あたり80ドルで買い付けた。

　これにより同社は非公開化され、報告コストが削減された。

　サウスベイ・グロワーズは、1994年に1,000万ドルの損失を含む、過去5年間のうち4年間で損失を出した。

　その後、1994年9月4日にその大半を閉鎖した。

　マクドナルドやバーガーキングなどの顧客を抱え、146人の従業員を抱えるサウスベイのサラダ加工工場は、新たな所有者を探しながら操業を継続した。

　大手製糖会社は1990年代初頭にサトウキビ収穫機を導入した。

　職を失ったサトウキビ畑の労働者は集団訴訟を起こした。

　会社は1998年に500万ドル以上の賠償金を支払った。

　2004年、U.S.シュガーは製粉所を閉鎖し、従業員を解雇し、ブライアント製粉所は2007年に閉鎖された。

　2008年2月、従業員は、同社、

　　　ロバート・ブーカーCEO

　　　ウィリアム・S・ホワイト会長

とその家族、そして

　　　チャールズ・スチュワート・モット財団

に対し、外部からのESOP償還額を上回る額で同社株式の買収提案が2回あった。

　にもかかわらず、ESOP株式の価値を十分に得られていないとして訴訟を起こした。

　従業員らは、ゲイロン・ローレンス家の農業コングロマリットが、2005年8月と2007年1月の2回にわたり、1株あたり293ドルの買収提案を行ったと主張した。

　同社は、提示額（約5億ドル）は市場価格を大幅に下回ると主張した。

　なお、2008年にフロリダ州がUSシュガーを20億ドルで買収する公募を行ったことで、その主張は事実であることが証明された。

　2008年6月24日、フロリダ州知事チャーリー・クリストは、包括的エバーグレーズ再生計画の一環として、同社から187,000エーカー（760平方キロメートル）の土地とそのすべての製造・生産施設を推定17億ドルで買収する交渉を行っていると発表した。

　この提案では、同社は今後6年間、この土地で耕作を継続し、元の自然湿地帯の状態に戻すことになっていた。

　2008年11月、この合意は13億4,000万ドルに修正され、クルーイストンの製糖工場は生産を継続できることになった。

　この修正計画を批判する人々は、この修正計画によって少なくとも今後10年間は​​エバーグレーズでサトウキビが栽培されることが確実になると述べている。

　2010年10月、同社は「リバー・オブ・グラス」復元プロジェクトのために、南フロリダ水管理局に26,800エーカーの土地を売却した。

　フロリダ・サトウキビ連盟[16]によると、サトウキビ農業は32億ドルの経済効果をもたらし、12,500人以上の雇用を支えています。2,500人以上の従業員を擁するU.S.シュガーは、「エバーグレーズ地域における最大の農業関連雇用主」の一つです。

　なお、米国のサトウキビは、政府の補助金なしでは産業が衰退する可能性があるため、1ポンド当たりの価格は他の先進国に比べてほぼ2倍の高値のまま維持されている。