楽天グループの三木谷浩史社長はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、最近の既発債の利回り低下について、投資家が楽天Gに「非常に大きな信頼を寄せていることを意味する」と説明し、国内での起債に自信を見せた。金額や時期など決まったことはないと明らかにした。
なお、同社が国内市場で社債を発行したのは2023年2月の個人投資家向け債が最後だが、インタビューでは国内での円建て社債発行に意欲を示した。
足元では資本市場での資金調達は海外市場に集中しているが、国内投資家の信頼回復の兆しから調達手段の多様化は可能だとみている。
なお、モバイル事業で多額の損失を抱える楽天Gは、25年上期に国内円建て普通社債で総額4000億円の償還を控えており、調達手段の多様化が課題となっている。
日本では信用格付けが「A」格以上でないと社債を発行しにくい傾向があり、格付けが低い同社にとってハードルは高い。
同社は昨年12月、3000億円を上限とする社債の発行登録書を関東財務局に提出した。
日本では信用格付けが「A」格以上でないと社債を発行しにくい傾向があり、格付けが低い同社にとってハードルは高い。
同社は昨年12月、3000億円を上限とする社債の発行登録書を関東財務局に提出した。
ブルームバーグのデータによると、楽天Gの既発債のスプレッド(上乗せ金利)は縮小傾向にあり、社債投資家の間で信頼感が高まっていることを示唆している。
26年12月に満期を迎える円債のスプレッドは16日時点で約180ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、1年前の約490bpから大幅に縮小した。
26年12月に満期を迎える円債のスプレッドは16日時点で約180ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、1年前の約490bpから大幅に縮小した。
個人投資家向けの社債発行について、三木谷社長は楽天Gの「事業にも良い影響をもたらす可能性がある」とし、個人が社債を買うことで同社のサービスへの「エンゲージメント」や「関心」がより高くなるだろうと続けた。
業績は回復しつつある。昨年11月に発表した7−9月期(第3四半期)決算では、モバイル事業の売上収益は前年同期比で2割増加し、赤字額は減少した。
三木谷社長は「業績がさらに向上すれば、間違いなく金利負担を軽減できるだろう」との見方を示した上で、「われわれの願いは中程度の黒字企業をつくることではない」とし、国内で、そしていつか世界で「トップティア」の黒字企業になることだと述べた。