米国コンサルティング会社マッキンゼーは、世界の大手銀行が過去2年間に享受した利益拡大は「一過性」の可能性があると警告した。
金利低下と借り入れ需要の低迷が逆風をもたらすと予測した。
マッキンゼーの年次業界報告書によると、預金取扱機関約1700社の有形自己資本利益率(ROTE)は昨年11.7%に上昇している。
ここ2年間が「世界金融危機以前と比べて銀行にとって最良の時代」だったことが示された。
ここ2年間が「世界金融危機以前と比べて銀行にとって最良の時代」だったことが示された。
同報告書は、幾つかのシナリオにおいて、銀行が最近の収益性を維持するためには、通常の5倍ペースでコストを削減する必要があると指摘した。
生産性の大幅な向上に苦戦してきた銀行業界にとっては非常に困難な注文だ。
生産性の大幅な向上に苦戦してきた銀行業界にとっては非常に困難な注文だ。
マッキンゼーは「利益向上は一過性で終わる可能性がある」として、金利上昇という追い風がなければ、ここ数年は複数の地域でROTEはわずか8%、あるいは資本コストを下回る可能性さえあったと説明した。
その追い風は今、弱まりつつある。
その追い風は今、弱まりつつある。
業界アナリストは、世界の金融当局がインフレ抑制から経済成長促進へと軸足を移すのに伴い、収益性が低下するとの懸念を示してきたが、マッキンゼーの分析はこうした懸念を裏付けるものとなった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月に約4年ぶりの利下げを行い、政策金利を0.5ポイント引き下げた。
欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中央銀行)も利下げに踏み切り、今後数カ月間も追加利下げが予想されている。
米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月に約4年ぶりの利下げを行い、政策金利を0.5ポイント引き下げた。
欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中央銀行)も利下げに踏み切り、今後数カ月間も追加利下げが予想されている。
マッキンゼーは金利低下により、銀行の純金利マージンは2023年から30年にかけて約16%減少する可能性があるとみる。こうした状況に備え、多くの大手銀行は全面的な人員削減を含む経費削減に既に着手している。
しかし、マッキンゼーの分析によれば、こうしたコスト削減では業界全体の収益性のギャップを埋めることはできない恐れがある。
幾つかのマクロ要因のシナリオ下で現在のROTEを維持するには、業界は資産当たりのコストを年5%削減する必要があるという。
業界水準はこれまで1%にとどまっている。
幾つかのマクロ要因のシナリオ下で現在のROTEを維持するには、業界は資産当たりのコストを年5%削減する必要があるという。
業界水準はこれまで1%にとどまっている。