350.org (スリーフィフティードットオルグ)
気候危機に取り組む国際環境NGO。
350のネットワークは188カ国に及び、グローバルな活動を展開している。
2015年に日本支部が設置された。
一般市民が中心となった積極的な
地球温暖化対策
を求め、「化石燃料を掘り出さない」「 “お金の流れ”を変える」「脱炭素社会の構築」を指針とし、化石燃料社会から再生可能エネルギー社会への移行を目標に掲げ、国際的ムーブメントの構築を目指している。
団体名は、気候変動のティッピング・ポイントを回避するための安全な上限値として知られている二酸化炭素の350 ppmが由来している。
2019年現在、濃度は415 ppmで現在も上昇が止まっていない。
オンラインキャンペーン、草の根組織化、市民活動、およびパートナーグループや組織の広範なネットワークとのコラボレーションを通じて、188か国以上で数千人のボランティアオーガナイザーを動員している。
2019年9月のグローバル気候マーチ (Fridays forFutureが発起人)の主催者団体の1つ。
化石燃料ダイベストメントキャンペーンは、南アフリカでのアパルトヘイトに対する社会運動の成功例を教訓に始まった。
2012年の団体設立以来、11兆米ドルを超える運用資産を持つ1110以上の機関が、化石燃料からの脱却を約束させた。
キャンペーン趣旨について350は「大学や宗教団体、年金基金、その他の機関は、組織の運用に役立てるため、投資に数十億ドル規模の資金を託します。 しかしその中には、化石燃料産業への投資もあり、投資家にとっても地球にとってもリスクがあります。だからこそ、私たちは、各機関に化石燃料関連企業からの投資撤退を呼びかけていると主張している。
350.orgはキーストーンXLパイプラインを、環境問題の歴史においても重要な問題であると指摘。
NASAの気候学者
ジェームズハンセン
は、「キーストーンXLパイプラインが完成したら地球はゲームオーバーである。カナダのビチューメンサンドに貯蔵されている化石燃料は『地球上で最大の炭素爆弾への導火線』だ。」と批判した。
また、パイプライン周辺における石油流出の可能性が指摘されている。
周辺には、1200万人以上に飲水を供給するテキサス州のCarrizo-WilcoxAquiferがあり、また、北アメリカ西部で最大の帯水層で、何百万もの人々や農業企業に飲料水や灌漑を供給しているオガララ帯水層にも危険をもたらす可能性が指摘されている。
「パイプライン計画は経済的な恩恵がもたらされる」との主張に、「プロジェクト建設時における数千人の一時的な雇用しか生み出さない」と350.orgは主張している。
350.orgや他の組織のアプローチにより、オバマ大統領は2015年、環境面の懸念を指摘しプロジェクトを却下した。
2017年には、トランプ大統領が就任早々に認可していたが、2021年、バイデン大統領は就任後初の主要な環境保護の行動の1つとして、パイプライン建設許可を撤回した。
350.orgは世界各地で化石燃料の生産を、制限または禁止する法律をサポートした。
ブラジルでは水圧破砕に関する410の地方自治体の禁止、またサンタカタリーナとパラナの2つの州では化石燃料の生産を禁止に導いている。
350.orgは、アメリカの環境保護論者である
ビル・マッキベン
とバーモント州のミドルベリー大学の学生グループによって設立された。
彼らの2007年の「 StepItUp 」キャンペーンでは、全米で1,400のデモが展開された。
この結果、2008年の米国大統領選挙で、ヒラリー・クリントンとバラク・オバマにエネルギー政策を変更させた。
2008年以降、350.orgはグローバルに活動範囲を拡大した。
マッキベンはアメリカの環境保護論者、作家。世界で初めて、一般市民向けの地球温暖化の本を執筆し、気候変動、代替エネルギー、地産地消経済の必要性について訴えている。
国連の「トップ気候科学者」であり、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のリーダー
ラジェンドラ・パチャウリ
を代表とした多くの科学者が、二酸化炭素の大気中濃度を350ppmに下げることに賛成を表明している。
NASAの気候科学者
ジェームズハンセン
は、350ppmを超える大気中のCO2濃度は安全ではないと主張した。
ハンセンは「人類が文明が発達し、地球上の生命が適応している惑星と同様の惑星を保護したい場合、CO2を現在の400ppmから350ppmまで下げる必要がある」と述べた。
350.orgは、世界中の300の組織との提携を主張している。