五輪開幕数時間前にパリの鉄道に破壊工作が行われ、80万人に影響の見込み

　2024年パリ五輪の開幕式を数時間後に控え、国際列車ユーロスターを含むパリ発着の列車が、フランスの超高速鉄道の「ネットワークまひを狙った大規模な攻撃」を受けた。

　フランス当局は組織的な妨害行為だとメディアに説明した。

　仏国鉄（ＳＮＣＦ）が混乱により少なくとも80万人の乗客に影響が出る見込みだと明らかにした。
　仏国鉄のジャンピエール・ファランドゥ総裁はＢＦＭテレビで、鉄道の重要なポイント３カ所で火災が発生し、小型トラックで現場から逃走する複数の人物が目撃されたと語った。
　運行に大きな影響を与える場所が選ばれたと述べ、ケーブルを一本一本を修理しなければならず、多くの列車が運休になるだろうと付け加えた。

　ベルグリット交通担当相はソーシャルネットワークのＸ（旧ツイッター）への投稿で「昨夜、高速鉄道ＴＧＶの複数の路線が組織的な悪意ある行為の標的となり、今週末まで交通に深刻な混乱が生じる見込みだ」と説明した。

　ウデアカステラ・スポーツ相はＢＦＭテレビで「最悪の行為だ」とし、「大会に反対する行為は、フランスに反対する行為であり、自分の陣営、自分の国に反対する行為だ。政府の大会ではなく、国家の大会だ」と語った。(関連記事)

　パリの検察当局は事件について捜査中だとの声明を出し、テロの背後にいる可能性のある人物や組織についての公式発表は現時点でないと続けた。

　ここ数週間、フランス政府関係者は極左やロシアが大会を妨害しようとしている可能性に言及してきた。
　ダルマナン内相は26日ＲＴＬラジオに、五輪を狙った４件の攻撃計画がここ数週間で阻止されたと明らかにした。

　フランス当局は五輪の警備のために数万人の警察官を配備し、パリ全体の警備を強化している。五輪会場、駅、観光名所は、テロ対策部隊や軍を含む銃を持った人員によって警護されている。

　ユーロスターによると、パリからロンドンとブリュッセルへの列車に影響が出ており、何本かが運休または遅延となっている。パリ発着の高速列車は迂回を余儀なくされ、所要時間が約１時間半延びるという。ユーロスターの発着場所であるパリ北駅にはスケジュールを変更する人の長い列ができている。

　パリの鉄道の要所であるモンパルナス駅では混乱が続き、列車運休の放送が相次いだ。

　仏国鉄は、「悪意ある行為」の後パリと幾つかの都市を結ぶ高速鉄道路線は運行されておらず、ネットワーク全体で深刻な遅延が予想されると発表した。

　「放火され施設が損傷したが既にチームが現場に到着し診断と修理を開始している」と続けた。

　ファランドゥ氏は、この攻撃はフランスの伝統的なバカンス期間を混乱させることを狙ったものだと示唆。多くのフランス人が旅行に出発する日が狙われたと述べた。