トランプ前大統領は銃弾が右耳に当たったにもかかわらず、数時間後に病院を退院し、大きなけがはしなかった。
前大統領で大統領選候補を狙ったとみられる銃撃が発生した事実と、銃弾が命を奪った可能性もある。
このことから、今回の事件は大きな波紋を広げるものとみられる。
トランプ前大統領側が今回の銃撃を
「悪辣な」行為だ
と非難した中で、トランプ前大統領は毅然とした姿で、支持者を督励した。
なお、トランプ前大統領は銃撃を受けて演壇の下に身をかがめてから立ち上がる際、帽子が取れて慌てた様子だった。
しかし、まもなく警護員に囲まれ拳を振り上げながら、「戦おう」と叫んだ。
この様子に聴衆は「USA」を叫びながら声援を送る場面も映し出された。
トランプ前大統領は数時間後、ソーシャルメディアを通じて当時の状況を伝え、聴衆が死亡したことに触れ、遺族と負傷者にお悔やみを述べた。また「シークレットサービスをはじめ治安当局の迅速な対応に感謝する」と明らかにした。
今回の銃撃事件は政治的得失からすると、今回の事件は他の醜聞とも言える問題を帳消しにし、少なくとも短期的にはトランプ前大統領に有利な局面を作る流れを作り出す可能性もある。
トランプ前大統領は昨年、さまざまな事件で起訴さ、岩盤の支持者らが結集し、選挙資金の募金が増加する逆説的な状況を経験した。
トランプ前大統領の選挙キャンプは5月末に
不倫の口止め料関連事
件の有罪評決後も選挙資金の寄付が増えたことも明らかにした。
「ポリティコ」は米国共和党下院議員である
デレク・バンオーデン氏
が銃撃事件後「トランプは先ほど選挙で勝利した」と話したと報じた。
同メディアは、他の議員たちはトランプ前大統領が大統領選挙で勝つと確言こそしなかったが、
有利な局面が作られたと
いう意見は多く出したと報道している。
このような中で、ジョー・バイデン大統領だけでなく、カマラ・ハリス副大統領、民主党のハキム・ジェフリーズ下院院内代表も「政治暴力は容認できない」という声明を出した。
また、バラク・オバマ、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ元大統領もこのような立場を発表した。
ワシントンポスト紙からは匿名を求めたバイデン大統領陣営の関係者は、トランプ前大統領を非難するテレビ広告の中止を検討していると、語ったとの報道も出ている。
なお、銃撃犯が誰で、どんな動機を持っているのかも状況展開に大きな影響を及ぼしかねないが捜査中のため情報は出ていない。
ホワイトハウス警護局の厳重な警護を受ける前大統領に向かって、遊説場近くの屋根から
突撃銃(アサルトライフル)
の形の銃器で銃撃を加えたのは、緻密な計画によるものと推測されている。
劇場型トランプの政治手法が繰り返し米国内での対立軸を作り出してきた結果、政治の二極化が進みバイデン大統領との対決が加熱する状況で発生した今回の事件だ。
こうした環境から米国の政治・社会的緊張はより一層高まる見通しとなっている。
米国政治の深刻な対立は、2020年の大統領選挙直後にトランプ前大統領が結果に従わず発生した
「1・6議事堂乱動」事件
で、自由を踏み台にした独裁政治への傾斜など、米国政治が「どれほど危険なレベル」に達したかが明らかになった。
今回もトランプ前大統領の支持者は銃撃自体を非難し、これに関する
陰謀論
を唱え始めており、今後、過激な行動に出る可能性を排除できないとみられる。
トランプ前大統領の側近たちは相次いでX(旧ツイッター)に投稿し、バイデン大統領側に責任を転嫁し始めた。
副大統領候補として取り上げられている
J・D・バンス上院議員
もp「バイデン側の選挙運動の前提はトランプ大統領がどんな代償を払ってでも防ぐべき専制的ファシストということだ。こうした主張がトランプ大統領暗殺の試みにつながった」と主張し、愚かな政治家を米国民に晒したとも言える。
また、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員も「民主党はこのようなことが起きることを望んでいだ」と述べ、支持者を扇動し始めた。
結局、トランプ前大統領との初めてのテレビ討論後、民主党大統領候補辞退論に苦しむバイデン大統領にとっては、今回の事件がまたもう一つの悪材料となる可能性があり、別の候補者への引き継ぎが必要な状況になりつつある。