イスラエルの野党指導者、ガンツ前国防相は9日、戦時内閣から離脱すると発表し、早期選挙の実施を求めた。
ガンツ氏はイスラム組織ハマスとの戦争への対処を巡りネタニヤフ首相を批判した。
ただ、ネタニヤフ首相のライバルであるガンツ氏の離脱でも連立政権の崩壊にはつながらない見通し。
離脱により、ハマスとの戦いで政権から穏健派の声が失われ、汚職まみれのネタニヤフ氏は右派の連立パートナーへの依存を強めることになる。
離脱により、ハマスとの戦いで政権から穏健派の声が失われ、汚職まみれのネタニヤフ氏は右派の連立パートナーへの依存を強めることになる。
ネタニヤフ氏と連立パートナーは国会(クネセト、議席120)で64議席を握っている。
ガンツ氏の離脱を受け、6議席を握る連立パートナーの極右政党を率いるベングビール国家治安相はガンツ氏に代わって自身を戦時内閣メンバーに指名するよう求める書簡をX(旧ツイッター)に投稿した。
ネタニヤフ首相を含む3人から成る戦時内閣メンバーだったガンツ氏はテレビ中継された記者会見で、イスラエルのハマスに対する「真の勝利」を首相が妨げていると批判し、「運命を決する戦略上の決定が政治的配慮により躊躇され、先延ばしされている」と語った。
同氏はその上で、ハマスとの戦闘開始から1年となる今年の秋に「真の挙国一致政府につながる」選挙を実施するよう呼び掛けた。
なお、イスラエル国内でネタに逢ふ首相の退陣を求めるデモ活動が広がる中、イスラエル首相府はガンツ氏の離脱を受けた公式コメントを控えた。
ガンツ氏は戦時内閣が承認し、「バイデン米大統領が原則を示した」停戦案を支持すると発言したうえ、「私は首相に対し、勇気を出してこの案を支持し、その推進に全力を尽くすよう求める」と述べ、野党党首として同案を支持すると明言した。
ガンツ氏は先月、ネタニヤフ首相が6月8日までに人質を取り戻し、イスラム組織ハマスによるパレスチナ自治区ガザ統治を終わらせる新たな計画を提示しなければ、政権を離脱すると述べていた。