石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」は、メンバー国が実際に
どれだけの生産能力
を有しているのかというやっかいな問題に向き合う構えで、展開次第では
石油市場の安定
を目指す協調に亀裂が生じかねない。
この問題を巡っては昨年、激しい議論の末にアンゴラがOPECを脱退するに至った。
サウジアラビアが率いるOPECプラスでは、メンバー国の生産能力について6月末までに調査をまとめるよう外部のコンサルタントに委託した。
一部の主要メンバー国は2025年の生産枠引き上げを目指しており
生産能力の上方修正
を望んでいる。
この議論に詳しい複数の関係者がメディアの取材で明らかにしたところによれば
アラブ首長国連邦(UAE)
カザフスタン
イラク
クウェート
アルジェリア などに
ついて、来年の生産枠引き上げの可能性が調査されていると明かした。
なお、関係者らは非公開情報であることを理由に匿名でこうした動きを明かしたもので、生産能力の上方修正を強く訴える国があり、判断を下すコンサルタントとの間で激しい論戦を繰り広げているという。
OPECプラスは石油市場における不安定化要素である
供給超過を減らし価格を押し上げる目的
で、これまでサウジ主導で原油生産を抑制してきた。
中国の景気後退が強まるなど、来年には需要の伸びが減速し、非メンバー国での生産が増加すると見られる。
このため、OPECプラスは市場の価格制御に苦しむ可能性があるとJPモルガン・チェースは指摘している。
OPECプラスにはすでに著しい規模の余剰生産能力があり、スッポット市場を通じて市場に原油を流している。
6月1日に開かれる会合では、現行の減産体制が今年下期にも延長されると商品市場では広く予想されている。
UBSグループはこの会合では、生産能力の見直しが討議される可能性があると予想している。
ただ、そうした討議が会合の決定に影響するかどうかは不明だ。