マーク・スピッツナーゲル(Mark Spitznagel)
1971年3月5日生まれ
米国の投資家でヘッジファンドマネージャー
フロリダ州マイアミに拠点を置くヘッジファンド管理会社
ユニバーサ インベストメント(Universa Investments)
の創設者、所有者、最高投資責任者
株式市場の暴落に対する「保険のような保護」を提供することを目的とした、いわゆる「テールヘッジ」または「ブラックスワン」投資の先駆者として知られている。
スピッツナーゲルは 16歳のとき、50年間トウモロコシと大豆の貿易を行ってきたベテラン
に弟子入りした。
スピッツナーゲルはシカゴ商品取引委員会の独立したピットトレーダーとなり、その後ニューヨークの
に転職し、自己トレーダーになった。
1999年、スピッツナーゲルと作家でニューヨーク大学でスピッツナーゲルの金融数学教授
ナシム・ニコラス・タレブ
はエンピリカ・キャピタルの「テールヘッジ」ファンドを共同設立した。
2007年、スピッツナーゲルはヘッジ ファンドの
を設立し、最高投資責任者を務め、極度の市場リスクに対する一種の保険を提供した。
2018年、ウォール・ストリート・ジャーナルは、「ユニバーサでわずか3.3%のポジションを獲得し、残りをS&P 500にパッシブ投資する戦略は、2018年2月までの10年間の年平均リターンが12.3%で、はるかに優れていた」と報じた。
さらに、「ユニバーサは、2007年から 2008年の金融危機の間に巨額の利益を上げた少数のファンドの 1 つでした」。
2010年には、 2010年の
フラッシュ クラッシュ
に至るまでの数分でスピッツナーゲルによる大規模な取引があったと主張した。
これがダウ平均株価が日中にその価値の 9% 以上を失ったときが主なきっかけの 1 つであった。
スピッツナーゲル氏の自称投資戦略は、ポートフォリオ構築におけるリスク軽減に焦点を当てており、顧客がより体系的なリスクを取れるようにすることを目的としている。
一般的に言えば、彼は株式のはるかにアウト・オブ・ザ・マネーの プット・オプションを所有することでこれを行っている。
スピッツナーゲルは、現代ポートフォリオ理論、特に相関関係と平均分散(シャープレシオ)の強調を否定している。
なお、市場予測には懐疑的であるが過去 10 年間に 2 つの市場の崩壊、最初は 2000年、次に 2008年と「2000年代の商品ブーム」を予測したという。
同氏は自分のやっていることを、投資家が支払う「ボラティリティ税」と呼ぶもの、つまり「多額の投資損失のマイナス複利によって引き起こされる投資ポートフォリオにかかる隠れた税金」を下げることだと説明している。
彼は投資家への手紙の中で、「数学的に言えば、長期複利にとって最も重要なのは、頻繁に起こる小さな損失ではなく、まれに起こる大きな損失である」と詳しく述べたうえ、スイスの数学者で物理学者の
ダニエル・ベルヌーイ
を「ユニバーサの守護聖人」と呼んだ。
スピッツナーゲルは、オーストリア経済学派とその表向きの投資への応用について、 2013年に『資本の道:歪んだ世界におけるオーストリア投資』というタイトルの本を執筆した。
ポール・チューダー・ジョーンズはスピッツナーゲルの本について、「一見困難に見える当面の損失が、将来のより大きな利益を得るためにどのように有利な中間段階になるかを示しており、したがってなぜ私たちが『今は忍耐強く、後で戦略的に焦る』必要があるのかを示している」と述べた。
自由主義者でありオーストリア経済学の擁護者として、スピッツナーゲルは中央銀行の 金融 介入主義を非常に批判してきた。
スウェーデン国立銀行賞経済科学賞受賞者でニューケインジアンの ニューヨーク・タイムズ紙コラムニストの
ポール・クルーグマン氏
は、こうした立場を批判的に取り上げた。
スピッツナーゲルは、起業家のピーター・ティールとともに、 2012年の共和党大統領選挙キャンペーンの主要な支持者であった
ロン・ポール米下院議員
は友人であり自由主義者でもあり、「連邦準備制度に対する(スピッツナーゲルの)軽蔑を共有」し、非自由主義への彼の願望を共有している。
スピッツナーゲルは、ロンの息子である
ランド・ポール米国上院議員
の2016年の共和党大統領選挙キャンペーンの上級経済顧問でもあった。
スピッツナーゲル氏は、住居と業務をフロリダに移した多くの金融幹部やヘッジファンドマネージャーの一人で、 2014年、フロリダ州の方がカリフォルニア州よりも「ビジネスと税務の環境がより親切」であるとして、ヘッジファンドのオフィスをロサンゼルスからマイアミに移転した。 なお、フロリダ州には所得税や相続税はない。