(MGM Holdings, Inc.)
Amazon傘下のアメリカ合衆国の純粋持株会社で、エンタテインメント企業
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・スタジオ
の親会社。
本社はカリフォルニア州ビバリーヒルズにある。
MGMホールディングスは、2005年2月11日にソニーを中心としたコンソーシアムによって設立された。
2005年4月8日に48億米ドルのレバレッジド・バイアウトでMGMを買収した後、2010年12月20日に破産した。
その間、MGMホールディングスは、プロビデンス・エクイティ・パートナーズ(29%)、TPGキャピタル(旧テキサス・パシフィック・グループ)(21%)、ソニー・コーポレーション・オブ・アメリカ(20%)、コムキャスト(20%)、DLJマーチャント・バンキング・パートナーズ(7%)、クアドラングル・グループ(3%)によって所有されていた。
2009年8月にMGMの新CEOに就任した
スティーヴン・クーパー
は、MGMが現在のビジネスモデルを継続できるようにするために、長期債務を再編すべきだとMGMの貸し手を説得したが、貸し手側はこれを拒否して、投資額を回収するには売却しかないと主張した。
そのため、クーパーは、買い手候補の関心度と売却資産の価値を測るため、オークションを実施することに合意した。
2009年11月12日、MGMは「独立した事業体としての運営、戦略的パートナーシップの形成、会社売却の可能性の評価など、様々な戦略的代替案を検討するプロセスを開始する」と発表した。
検討していた選択肢には、会社の売却や他のメディア企業との合併、または資産オークションが含まれていた。
このオークションには、4,000タイトルの映画およびテレビ番組のライブラリ、会社のロゴ、「ジェームズ・ボンド」フランチャイズの権利、および3本の「ホビット」映画の半分の所有権の売却が含まれていた可能性がある。
また、新たな投資家から多額の資金を得られる可能性も示唆していた。
ただ、業界アナリストはその可能性は低いと考えていた。
買い手の候補としては、タイム・ワーナーやハリウッドのプロデューサー
アミール・マリン
が率いるプライベート・エクイティ・ファンド「クオリア・キャピタル」、MGMの家庭用メディアの配給会社「20世紀フォックス」、ライオンズゲートなどが挙げられていた。
MGMは、債権者が2010年1月31日までの債務支払いの猶予に同意したことを発表したが、その後、猶予期間は2010年3月31日まで延長された。
2009年12月初旬の時点で、16社がMGMの全部または一部の買収に興味を示していた。
しかし、実際にMGMの財務諸表を調査できるような機密保持契約を結んだのは2社だけだった。
「ハリウッド・リポーター」によると、ワーナー・ブラザース、20世紀フォックス、ライオンズゲートの3社が、MGMの有力な買収候補とされていたが、業界関係者の間では、「ジェームズ・ボンド」の映画フランチャイズや「ホビット」映画など、10億ドル以下の入札額になるような、MGMの一部の資産にしか買い手がつかないのではないかと心配されていた。
業界紙は、債権者がスタジオの一部または全部に対して20億ドルのオファーを受け入れるだろうと記事で明らかにした。
また、18億ドルの入札であっても、買い手が一定の条件と期間の下で負債を株式に転換する権利「シュマック・インシュアランス」に同意すれば、受け入れられる可能性があると業界関係者はメディアの取材で語った。
12月18日の報道によると、ルパート・マードックが経営するニューズ・コーポレーションの映画スタジオ、20世紀フォックスがMGMの買収に関心を持っていた。
ただ、ニューズ・コーポレーションはMGMの秘密保持契約の「制限的」な条件に同意できなかった。
その条件とは、(一部)買い手候補がMGMの債権者と話すことを認めないというものだった。
こうした秘密保持契約の厳しい条件のために、他の2社の買い手候補も参加を拒否した。
また、他の数社も条件を巡って交渉中であり、プロセスに参加できなかった。
業界紙は、デューデリジェンスのプロセスは「遅々として進まない」と報じ、12月18日の時点で参加しているのは、候補者20社のうちわずか4社となっていた。
そのため、MGMは当初、1月15日金曜日をスタジオの買収に関心のある企業からの入札を受ける期限としていたものの、予想よりも少ない入札数となった。
ドリームワークスとの合弁会社を持つリライアンス・エンターテインメントが期限日に入札に参加した。
ニューズ・コープは、1月15日頃に秘密保持契約を結び、入札を検討していると報じられた。
ニューヨーク・タイムズ紙は1月17日、タイム・ワーナー、ライオンズゲート、および数社の中小企業から入札があったものの、そのほとんどが最低価格の20億ドルを下回っていたと報じた。
入札では10億ドルを下回るものもあったとされる。
また、ほぼすべての入札には、MGMがまず破産申請をして債務を整理することが必要としていた。
フィナンシャル・タイムズ紙は、情報筋の話として、ほとんどの入札額は15億ドルから20億ドルの範囲内だと考えていると伝えた。
他のメディアが報じたところによると、タイム・ワーナーではすでにMGMのライブラリの大部分を所有したうえ、多額の現金を蓄えていることから、業界内では有力な入札者と見られていた。
また、クオリア・キャピタルは、5億ドルの負債を自社株に転換することに合意すれば、MGMの債権者がスタジオを破産に追い込むことを回避できると提案した。この方式で、MGMは現金を注入できるとともに、負債のかなりの部分を解消することができこととなる。
1月23日までに、レラティビティ・メディア(約16億ドル)とリライアンス・エンターテインメント(約18億ドル)からも入札があった。
その6日後、MGMは期限を3月31日に延長し、その翌日までにニューズ・コーポレーションは、MGMに現金を提供して会社を存続させるべきだと提案した。
結局、MGMは2010年11月3日に連邦破産法第11章の適用を申請し、12月2日に連邦破産裁判所がMGMの更生計画を承認した。
MGMの債権者が会社を引き継ぐことになったことから、2010年12月17日、同社は約50名のスタッフを解雇した。
破産からの脱却後、MGMの担保付債権者のクレディ・スイスやJPモルガン・チェースは、ハリウッドのスタジオであるメトロ・ゴールドウィン・メイヤーを所有するMGMホールディングスを共同で所有した。
2010年12月、MGMは、スパイグラスのパートナーである
ゲイリー・バーバー
ロジャー・バーンボーム
の両氏をスタジオの共同会長および共同CEOに任命した。
また、元ピクサーのCFO
アン・メイザー
をMGMの新しい取締役会のトップに任命した。
2010年12月29日、MGMはニューヨークのグループ、ジョージ・コンフォート&サンズと、235-269 N. ビバリーの一角にある6階建てのビルの新しいリース契約を結び、センチュリー・シティの旧本社を退去した。
2011年末の財務報告書で、MGMはトム・クルーズが保有していた
ユナイテッド・アーティスツ
の30%の株式を取得し、再びUAの100%を保有することになった。
2012年5月、MGMは、LAPTVとコンテンツの長期契約を結びながら、LAPTVの少数無議決権株式をルパート・マードックの
フォックス・インターナショナル・グループ
に売却した。
2012年7月31日、MGMは、MGMの筆頭株主
との間で、彼が保有するMGMホールディングスの株式を5億9000万米ドルで取得する契約を発表した。
この取引により、MGMは、スタジオの株式公開や戦略的投資家への売却に備えて、スタジオの市場価値を24-30億米ドルに設定することができた。
7月31日、MGMは、カール・アイカーンを買収するための資金調達とIPOの準備のために、米国、カナダ、英国、ドイツ、およびブラジルとオーストラリアの合弁会社を残したまま、MGMネットワークスを
チェロメディア
に売却した。その後、AMCネットワークスに買収され
AMCネットワーク・インターナショナル
に社名変更することになるチェロメディアは、MGMブランドとコンテンツのライセンスを取得し、購入した
MGMチャンネル
での放送を継続することができた。
2014年9月、MGMは、ハリウッドのプロデューサー
マーク・バーネット
ローマ・ダウニー
の両者が運営するワン・スリー・メディアとライトワーカーズ・メディアの55%の株式を取得した。
この2社は、UAとともに、ユナイテッド・アーティスツ・メディア・グループとして知られる新しい映画・テレビ会社に統合された。
2015年12月14日、MGMは、まだ保有していなかったUAMGの残り45%の株式を取得したことを発表した。
ダウニーとバーネットは合計で2億3300万ドル相当のMGMの株式を受け取り、ハーストは現金を受け取った。
また、バーネットは、退任するローマ・カーナに代わり、MGMテレビジョンのCEOに昇格した。
2017年10月、MGMの取締役会は
ゲイリー・バーバー
の会長兼CEOとしての契約を2022年12月まで更新した。
2018年2月、レイサム・アンド・ワトキンスの元メディアM&A弁護士
クリス・ブレイトン
が最高執行責任者に就任した。
2018年3月19日、MGMホールディングスは、バーバーがスタジオの取締役会によって解雇されたことを発表した。
ただ、MGMは彼の解雇理由を明らかにしなかった。
その後、暫定的に、新たに設立されたオフィス・オブ・CEOが指揮を執ることになった。
4月下旬、MGMは25作目の「ジェームズ・ボンド」映画の権利を梃子にしたスタジオ売却を決定した。
アンナプルナ・ピクチャーズとワーナー・ブラザースが入札候補と見られた。
5月21日には、バーバー(ストックオプションによりMGMの9%を保有)がMGM買収のための入札を検討しており、投資銀行にオファーの資金調達について話していることが報じられた。
その代わり、バーバーは6月に自分の株式とオプションをMGMに売却し、3年間の会社関連事項の停止状態になった。
2018年7月、MGMは負債資本構造を25億ドルにリセットした。
これはMGMが事前の融資制度を完済したことで借入金利が低下したための措置だ。
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、テレビ番組への支出が増加したことと、財政的に保守的なバーバーがCEOを退任したことを理由に、MGMの主要な2つの格付けを引き下げた。
2013年から取締役を務めている
ナンシー・テレム
は、2019年2月7日までに、長期的な戦略を担当する
エグゼクティブ・ディレクター
という肩書きで、同社のオフィス・オブ・CEOに参加した。
しかし、テレムは、TVグループ会長のマーク・バーネットと衝突するなど、半年でその職を退いた。
MGMのモーション・ピクチャー・グループの
ジョナサン・グリックマン社長
は、アレサ・フランクリンの伝記的『リスペクト』映画を皮切りにファーストルック契約を結んで、2020年2月1日に退社した。
2020年3月1日よりマイケル・デ・ルカが会長としてモーション・ピクチャー・グループを担当した。
2020年12月、MGMは、新型コロナウイルスのパンデミックや映画館の閉鎖によるストリーミング・プラットフォームの支配を要因として、スタジオの売却の可能性を検討し始めた。
モルガン・スタンレーとライオンツリー・アドバイザーズを採用して、スタジオに代わってプロセスを処理した。
2021年5月17日、Amazonがスタジオの買収交渉に入った。
2021年5月26日、Amazonは84.5億ドル(約9200億円[64])でスタジオを買収する意向を発表した。
これにより、スタジオとその部門・資産は新しい親会社の下で事業を継続することになった。
2022年3月17日、買収が正式に完了した。
2023年10月3日、MGMホールディングスはAmazonスタジオに吸収され、Amazonスタジオの社名を
アマゾンMGMスタジオ
に変更した。
MGMホールディングスは、直接的または間接的に約160の関連会社を所有・管理している。
特に注目すべきグループ会社は
映画製作・配給、ホームエンターテインメント
・メトロ・ゴールドウィン・メイヤー
・MGMホームエンターテインメント
・ユナイテッド・アーティスツ・リーシング(ミラー・リーシング社)
・アメリカン・インターナショナル・ピクチャーズ
・オライオン・ピクチャーズ
・オライオン・クラシックス
テレビジョン
・MGMテレビジョン
・ビッグ・フィッシュ・エンターテイメント
・エボリューション・メディア(エボリューション・フィルム&テープ)
・ガトー・グランデ・プロダクション
(メキシコの企業家ミゲル・アレマンとアントニオ・キュエとの合弁)
・オライオン・テレビ・プロダクション
・ライトワーカーズ・メディア
・MGMデジタル
・スターゲイト・コマンド - ストリーミング・サービス
・ユナイテッド・アーティスツ・デジタル・スタジオ[69]
その他の資産
・MGMアニメーション
・MGMコンシューマー・プロダクツ
・MGMインタラクティブ
・MGMミュージック
・MGMオン・ステージ
・オライオン・テレビ・プロダクション
・ライトワーカーズ・メディア
・MGMデジタル
・スターゲイト・コマンド - ストリーミング・サービス
・ユナイテッド・アーティスツ・デジタル・スタジオ[69]
その他の資産
・MGMアニメーション
・MGMコンシューマー・プロダクツ
・MGMインタラクティブ
・MGMミュージック
・MGMオン・ステージ