イングランド銀行(BOE 英中央銀行)は1日、政策金利を5.25%で据え置いた。
今年のインフレ見通しを引き下げるとともに、追加利上げが必要となる可能性があるとの一節をガイダンスから削除し、利下げに道を開いた。
今年のインフレ見通しを引き下げるとともに、追加利上げが必要となる可能性があるとの一節をガイダンスから削除し、利下げに道を開いた。
ベイリー総裁は政策金利を現水準で据え置けば、インフレ率は目標の2%を「顕著に」下回ることになるだろうと認めた。
9人から成る金融政策委員会(MPC)メンバーの判断は3通りに分かれ、6人が金利据え置きを支持した。
ディングラ委員は利下げを主張し、残り2人は利上げを求めた。
9人から成る金融政策委員会(MPC)メンバーの判断は3通りに分かれ、6人が金利据え置きを支持した。
ディングラ委員は利下げを主張し、残り2人は利上げを求めた。
この発表を受けてポンドはドルに対する下げを縮小した。
英国債は上昇し、10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.78%となった。
なお、短期金融市場での今年の英中銀利下げ見通しは変わらず、0.25ポイントの利下げが年内に少なくとも4回と見込まれている。市場が織り込む初回の利下げ時期は6月で、5月の確率は約50%とされる。
英国債は上昇し、10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.78%となった。
なお、短期金融市場での今年の英中銀利下げ見通しは変わらず、0.25ポイントの利下げが年内に少なくとも4回と見込まれている。市場が織り込む初回の利下げ時期は6月で、5月の確率は約50%とされる。
2008年以降で最も意見が分かれた会合は、英中銀の
インフレとの闘いにおける転換点
だった可能性がある。
ベイリー総裁は利下げを検討していると認め
物価上昇圧力
が抑制されるまでにはまだ時間がかかるとした昨年12月の発言から後退した。
インフレとの闘いにおける転換点
だった可能性がある。
ベイリー総裁は利下げを検討していると認め
物価上昇圧力
が抑制されるまでにはまだ時間がかかるとした昨年12月の発言から後退した。
総裁は政策判断発表後の記者会見で「長い道のりを経てここまで来た」と説明しつつ、「しかしまだ目的地には至っていない」と述べた。
総裁にとって、見通しを変えうる大きな未知数の一つはスナク政権が次回の予算で景気刺激策を打ち出す可能性があるためだ。
ハント財務相は3月初めに発表する春季財政報告で、支持率で与党・保守党の支持を押し上げるような減税の余地を見いだしたい考えだ。
ハント財務相は3月初めに発表する春季財政報告で、支持率で与党・保守党の支持を押し上げるような減税の余地を見いだしたい考えだ。
MUFGのシニアエコノミスト、ヘンリー・クック氏は「ハント氏は選挙前のバラマキを巡る臆測を抑えたい様子だが、政府は次回の予算で一定の個人所得税減税を実施すると当社は引き続き予想している」と語り、「英中銀の景気抑制的な金融政策設定は、向こう数カ月でより緩和的となる財政政策に相反する恐れがある」と続けた。
ガイダンスにはハト派色を増した中銀の姿勢が反映されている。
インフレが持続する場合は「一段の引き締めが必要になるだろう」というコメントは削除された。
また、「インフレ率を2%の目標に戻すのに十分な期間、金利を景気抑制的な水準に保つ必要がある」との文言は維持された。
インフレが持続する場合は「一段の引き締めが必要になるだろう」というコメントは削除された。
また、「インフレ率を2%の目標に戻すのに十分な期間、金利を景気抑制的な水準に保つ必要がある」との文言は維持された。
MPCは「昨年秋以来、政策は長期にわたって景気抑制的であることが必要だと判断してきた」とした上で、「経済データに応じて正当なように金融政策を調整する」と表明。どのくらいの期間金利を据え置くかは「検討中」とした。
2月の金融政策報告での予測も、緩和の可能性を示唆した。政策金利が5.25%に据え置かれると仮定した場合、インフレ率は目標の2%を大きく下回り、2年後には1.4%、3年後には0.9%と予想され、政策が過度に引き締まっていることが示唆された。
金利が今年4%、2025年に3.5%に引き下げられるという市場の予想に基づくと、インフレ率は2年後には2.3%と目標を上回るが、3年後には1.9%まで低下すると見込まれた。政策金利は低下する必要があるが、市場が考えているほど急速ではないことを示している様子だ。
英中銀はこれまで、利下げよりも利上げの可能性が高いとの警告を堅持してきたが、昨年12月の前回会合以降、英経済の状況が一変し、インフレ率は予想以上に急低下した。当局者は現在、エネルギー価格の下落によりインフレ率は4−6月(第2四半期)に目標の2%まで下がるとみている。これは昨年11月の中銀予測より1年以上早い。
ただ、その後はエネルギー価格下落の影響が薄れ、サービスや賃金の基調的な物価上昇圧力が持続するため、インフレは3%近くまで再加速する可能性が高い。中銀は、インフレリスクは依然として「上振れ方向」に傾いており、紅海の海運の混乱は潜在的な物価上昇の脅威となると警告した。
インフレ率と金利の低下は景気を押し上げる。中銀は今年の成長率見通しを0.25%と、昨年11月予想のゼロ近辺から引き上げた。25年も0.75%に上方修正。21年12月の引き締め開始以来の金利上昇は影響の約3分の2がこれまでに表れたと中銀はみている。
今回の会合はMPC内で意見が3つに分かれた。ディングラ委員は引き締め過ぎのリスクがあるとして5%への利下げを主張。マン、ハスケル両委員は前回と同様、5.5%への利上げに票を投じた。昨年12月に利上げに賛成したグリーン委員は据え置きを選択し、ベイリー総裁をはじめとする多数派に復帰した。利上げ、利下げ、据え置きの3通りに意見が分かれたのは08年夏以来だった。