カーギル( Cargill)
米国ミネソタ州ミネアポリス市近傍のミネトンカに本社を置く世界最大の穀物会社。
穀物のみならず精肉・製塩など食品全般及び金融商品や工業品に営業範囲を広げている。
非上場企業として世界最大の売上高を誇り、株式の全てをカーギル家とマクミラン家の関係者が所有する同族企業である。
秘密主義で、情報の公開を義務付けられる公開会社としおらず、20世紀に資産が6000倍に成長した。
ミネアポリスにある本社は古風で古城のような外観の建物で、「シャトー」と俗称されている。
建物内部は一大情報センターであり、全世界の穀物の生産と消費の情報を基に経営戦略が練られている。
米国の中西部、穀倉地帯からメキシコ湾、五大湖、大西洋西岸にかけ
穀物エレベーター
を駅ごとに所有しており、このシステムを背景に仕入れ価格を支配し、駅まで作物を運搬できない小規模農家を疎外してきた。
(米国著名な投資家ウォーレン・バフェット氏が2009年10月5日、米国売上高トップの鉄道会社
バーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道(BNSF)
を440億ドルで買収すると発表し、11月3日263億ドル(同時期の日本円にして2兆4000億円)で買収に成功した。)
穀物メジャーは国際資本の投資先でもある石油メジャーと同様に政治と密接な関係を持つ。
近年では海洋牧場など水産養殖業にも注力し、タイやベトナムなど東南アジアに研究開発拠点を設置、飼料メーカーなどを買収するなど支配体の確立する動きを活発化させている。
日本では1956年にトレーダックス株式会社を設立、1997年には会社更生法を申請した中堅商社東食を傘下に収め、「カーギルジャパン」を子会社に持つ。
創業者ウィリアム・ウォレス・カーギルが1865年にアイオワ州で小さな穀物商を始めたのが創業となる。
その後、次々と穀物倉庫を所有して規模を拡大させ1906年にミネソタ州に進出した。
娘婿のジョン・H・マクミランが1909年に社長に就任した。
その後、カーギル社の株式は、カーギル家 (85%) とマクミラン家 (15%) で持ち合うことになる。
1922年にはニューヨーク州へ販路を拡大させた。
1970年代にはコンチネンタル・グレイン、ブンゲ、 ルイ・ドレフェス、アンドレ・ガーナック、とともに五大穀物メジャーを形成し、事実上世界の穀物取引を支配下においた。
1990年代には穀物メジャーの再編が進み、1999年にコンチネンタル・グレインがカーギルに買収され、最終的にカーギルとアーチャー・ダニエルズ・ミッドランドの2社となっている。
2000年の調べでは、従業員数48,000人、売り上げ476億ドル。世界第2位のADM社を2倍以上の売り上げと従業員数となった。
2022年度の売上高は1,650億ドル、最後に報告された利益は2021年で、50億ドル弱だった。従業員は世界66か国155,000 人以上の従業員を擁している。
米国の穀物輸出全体の25% を担っている。また、米国国内の食肉市場の約22%を供給している。
他のどの企業よりも多くの製品をアルゼンチンから輸入しており、タイ最大の鶏肉生産者となっている。
米国のマクドナルドレストランで使用されるすべての卵は、カーギルの工場から提供されており、ファーストフードおよび加工食品業界で使用されるアルバーガー プロセス ソルトを製造する米国で唯一の企業である。
なお、カーギルは1865年の創業以来、一貫して非公開企業で、大部分は創業家が所有している。
現在、創業者ウィリアム・カーギルの子孫ら100人余りが株式全体の90%を保有し、17人の取締役会に一族から6人が選出されている。
残る10%は経営陣と従業員持株会が所有し、同家との合意により同社は年間純利益の最大80%を再投資に当て、残る利益を配当金として支払っている。
2023 年 1 月、ブライアン サイクスが社長兼 CEO に任命された。
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