ロシア議会下院は25日、地方首長による「軍事会社」創設を認める法案を可決した。
この法案には「動員および戒厳令の期間中や戦時中」の措置として、正規部隊を補完するために民兵組織を設けることを容認している。
背景には、ウクライナ軍の反転攻勢が続く中、国内の治安維持が手薄になっている事情もある。
プーチン政権は、汚い仕事をさせる目的から法律では禁止し荒れている民間軍事会社の設立を黙認し、これまで侵攻に民間軍事会社ワグネルを活用してきた。
待遇に不満を持つ創設者プリゴジン氏が6月下旬に武装反乱を起こし、多くの戦闘員と共にベラルーシへ拠点を移した。
その結果、準軍事組織に一定の空白が生じ、それを埋める役割を地方首長に求めている可能性がある。
ただ、本来なら国が武力を一元管理すべきところ、非合法な存在である民間軍事会社に勢力を拡大させ、ワグネルの反乱を招いたという反省もある。
この法案では地方首長の軍事会社創設を「大統領の決定」で認めると規定したうえ、あくまで政権の管理下に置く方針にある。
地方レベルでは既に、南部チェチェン共和国の独裁者
カディロフ首長
が事実上の「私兵部隊」を保有しており、他の民間軍事会社も国軍や情報機関出身者により設立されている。
チェチェンの私兵部隊は形式上からは、中央の国家親衛隊(旧内務省軍)などの傘下に組み込まれているものの、ウクライナや国境地帯への派遣を含め、運用はカディロフ氏の一存で決めるルことが可能だ。
プーチン大統領は今月、「ワグネルは現に存在するが、(法的に)存在しないことになっている」と発言した。
これを踏まえペスコフ大統領報道官は、民間軍事会社の将来的な「合法化」に含みを残した。
しかし、軍事力が強まることで権力闘争が激化し内戦に至りかねないことも問題視され、マトビエンコ上院議長は25日、不要という考えを示している。