中国共産党と一部幹部の資金などが投入され政治的支援が最大限利用されていた中国最大の不動産会社「恒大(こうだい)集団」が、破綻の際に追い込まれている。
過去20年の中国経済の牽引役だった不動産業界にあって、その中心にあった。
「広州の皇帝」こと許家印(きょ・かいん)前董事長(前会長)が一代で築き上げた恒大集団は今年も8月までの売上高が4368億元(約7兆4300億円)を記録している。
これは、万科の4449億元(約7兆5600億円)とほぼ並んで、中国で2位につけている。
そんな不動産業界の巨人が破綻すれば、中国経済と世界経済に与える影響は、計り知れず
「中国版リーマン・ショック」
を危惧する投資家も多い。
中国政府の忖度してきた日系企業も、家電メーカーから商社まで、取引先が多岐にわたりその影響は甚大になることが予想される。
中国不動産開発大手、碧桂園集団の香港子会社は20日、同業の
富力地産股份有限公司
との間で、富力地産の子会社である
富力環球
の株式100%を100億元(約1700億円)以下の価格で買収することで意見一致したと発表した。
香港紙の香港経済日報は21日、6月30日時点で、富力地産の総負債額は3318億元(約5兆6191億円)であることを明らかにした。
仮受金を除いた負債比率は74.9%。純負債比率は123.5%。流動比率は0.55となっている。
中国規制当局が不動産開発企業に対して制定した総負債、純負債、流動性に関する3つの融資制限指標、いわゆる「3つのレッドライン」を越えている。
中国メディア「華爾街見聞」の報道では、富力地産は2017年以降、70のホテルを買収し、大中都市の住宅市場で事業を急展開した。
このため、19年に純負債比率は200%を上回ったうえ、債務拡大のため、同社は
流動性リスク管理策
として、ここ数年、地方政府からの土地取得を減らしてきた。
ただ、米中貿易問題の激化などで経済悪化が広がっており、住宅物件の販売不調で資金回収ができていない状況にあるという。
同社は人員削減を進めており、2019年末と比べて、20年の従業員数は約4割減った。
ひとこと
中国企業の大手は中国共産党政府と一帯であり、これまでは様々な恩恵を受けて規模を拡大していた。
経済の停滞は直接こうした企業の経営状態が悪化することになる。
地方政府の共産党員の懐を増やすために仕組まれた開発事業が無理な物件ばかりであり、多額の負債が生じる仕組みであり、大きな経済変動が起きる可能性が近づいている。