首露王(しゅろおう、수로왕)
金官加羅国の始祖と伝えられている古代朝鮮半島の王で、金海金氏の始祖とされる。
首露王は158年に建国し、妃はサータヴァーハナ朝の王女と伝わる許黄玉とされる。
ただ、首露王についての記述は金官加羅国が滅亡した500年ほど後に書かれた駕洛国記が本となって伝承であり、史実か判断が難しい。
金官加羅国とされる地域では須恵器に影響を与えた土器が発掘されている。
13世紀末に高麗の高僧
13世紀末に高麗の高僧
一然(1206年 - 1289年)
が書いた私撰の史書「三国遺事」に掲載された「駕洛国記」によると、亀旨峰の6個の金の卵から, (西暦42年)3月3日に首露王が生まれた[1]とされ6つ子として卵から孵って、九干たちに育てられた。
韓国ではこの年代に、首露王を中心とした国家連合(六加耶連合、後の新羅の複伽耶会)が成立したとされる。
金官国伽倻は中国の歴史書である三国志の中の「魏書」第30巻烏丸鮮卑東夷伝にある「魏志倭人伝」には
狗邪韓国(くやかんこく、くうじゃかんこく)
と伝えられる国。
なお、首露王は金の卵から生まれたという伝説により金姓を名乗った。
こうした朝鮮の始祖もしくは神話上の王とされている人々は、高句麗の
東明聖王
や新羅の
朴赫居世
脱解尼師今
など、卵から生まれたとする卵生説話を持つものが多い。
これは、卵が神聖なものであったという思想家からきている。
李氏朝鮮時代の1530年、中宗の命により、 李荇(イ・ヘン)、尹殷輔(ユン・ウンボ)、申公済(シン・コンジェ)等が編纂した官撰地理志
新増東国輿地勝覧
には加耶山の女神である正見母主と天神「夷毗訶之」(イビガジ)から
悩窒朱日ㆍ内珍朱智
が生まれ、その内珍朱智が首露王だとの記述がある。
首露王の兄が大加耶を建国したというの内容を通じて、大伽耶が六加耶連合の盟主だった時に作られた神話との見方もある。
なお金 (姓)は、前漢の武帝が匈奴の休屠王の子
日磾
を捕えた時に、休屠王が祭祀に用いていた祭天金人から日磾に金 (姓)を賜ったことに始まるもの。
ただ、韓国ドラマ『鉄の王 キム・スロ』では遊牧民族匈奴の一部族である祭天金人の族長の息子として生まれたという設定になっている。
『三国史記』の金庾信列伝によれば、新羅の武将
金庾信
は金官加羅国の王家の子孫であり、首露王は黄帝の子・少昊(金天氏)の子孫であるという。