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2018年02月10日

エドモンド・サフラ(Edmond J. Safra) ワイルの右腕として活躍した金融業者


エドモンド・サフラ
   (Edmond J. Safra)
      1932年8月6日 – 1999年12月3日

 シリアのユダヤ人銀行家で米国の大手金融グループ
   シティグループ
の会長サンフォード・ワイル(Sanford I. Weill)の右腕として活躍した。
 
 サフラのリパブリック銀行は、1865年に香港で創設された香港上海銀行を母体として1991年に設立された商業銀行HSBCが1999年5月に買収した。
 
 サフラ一族はオスマン帝国時代からその領内で地金取引を営んでいた。
 家族はオスマン帝国の皇帝が領内在住の外国人に対し、通商・居住の自由、租税免除、身体・財産・企業の安全など恩恵的に特権を認めたため、債務が急激に増えたため、欧州列国の意のままに第一次世界大戦等に引き込まれて帝国が滅んだ。
 
 帝国が滅ぶと安全な地域を求めてベイルートへ移り住んだ。
 
 第二次世界大戦後はミラノで成功した。
 1955年ブラジルにサフラ銀行を設立し50以上の支店をかかえるようになった。
 
 翌1956年には
   貿易開発銀行(Trade Development Bank)
を設立し、モンテカルロからマイアミまでのプライベート・バンキングを扱うようになった。
 
 ユーロダラーがインフレして交換性に影響しはじめた1966年、サフラが個人向け金融機関
   リパブリック銀行(Republic New York)
をNY市に設立した。

 1980年代アメリカン・エキスプレス(アメックス)でサフラはマーチャント・バンキング担当重役となっていた。
 
 このとき社長のワイルと組んで商業銀行の
   リーマン・ブラザーズ・クーン・ローブ
を買収し、シェアソン・リーマン・ブラザーズへ改組した。
 
 1983年アメックスがサフラが経営する貿易開発銀行を買収して、サフラが莫大な利益をあげた。
 
 1988年サフラはジュネーヴにリパブリック銀行を進出させた。
 
 サフラはこれを関連銀行と連動させて多国籍の金融帝国を拡大したが、アメックスで国際金融組織で麻薬密売益等を
   資金洗浄
が行われているというスキャンダルがおこった。

 このスキャンダルは司法当局の捜査などでは実証されなかったが、2012年HSBCの資金洗浄が報じられた。
 

 晩年、リパブリック銀行はニューヨークで預金高124億ドルを超えた。
 サフラ自身はリパブリックの3100万株(資本金で22億ドル相当、30%)を保有した。
 
 また、ジュネーヴの方でも21%を支配していた。

 これらのリパブリック銀行はアジア通貨危機から伝播して債券の暴落を引き起こす流れのなか1998年の
   ロシア財政危機
で大きな損失を出した。
 
 1999年米国司法省がロシアの犯罪組織とビッグビジネスをしている容疑でリパブリックを捜査するようになった。
 この捜査の結果、バンク・オブ・ニューヨークの口座に犯罪組織が100億ドルを保有していたことが判明した。
 
 
 1999年5月HSBCがリパブリック両行を買収すると発表した。
 同年9月にプリンストン債事件が発覚した。
 
 この事件は天才ファンドマネージャーとして一躍日本の公共放送が積極的に紹介するなどマスコミで話題になった
   マーティン・アームストロング氏
が首謀した巨大投資詐欺事件。
 
 
 アームストロング氏は、1998年のロシア危機で離れていった欧米顧客の穴を埋めるために、英国のつぶれかかったクレスベール証券(ケイマン籍のペーパーカンパニー)を買い取り、バブル崩壊で財テクの損失を隠したい日本企業の財務担当者に、プリンストン債という私募債を買わせたというもの。

 
 プリンストン債というNYのリパブリック銀行が保有する資産を担保にしたドル建て債券が発行され、米国の
   クレスベール証券(Cresvale International Ltd.)
が日本で販売していた。

 プリンストン債を使って、バブル崩壊の損失隠しを行ったともいわれる。
 
 例えばバブル崩壊で100億円の資産が半部の50億円まで下がったとする。この時価50億円の不良債権を額面100億円のプリンストン債と交換させた。
 この場合、企業の赤字50億円はプリンストン債に移転され、償還までの期限を長期の死金として維持するために10年程度と長くとっておくことで、運用がうまくいけば額面の100億円で償還できるという素人の読みで投資が行われた。

 結局、1999年9月にファンドが倒産し、アームストロング氏やクレスベール証券東京支店長などが逮捕された。
 
 日本企業から集めた巨額の資金は、アームストロング氏の豪遊生活に使われていたことが明らかになっている。
 
 高い利回りに誘われて、ブリンストン債に投資した日本企業は70社以上で総額1200億円以上に上った。
 
 内訳としては、額の多い順にアルプス電気217億8100万円、中電工130億、群栄化学工業117億9300万円、山洋電気78億4000万円、ヤクルト本社70億、アマダ60億、丸善56億2900万円、キッセイ薬品35億などといわれている。
  
   
 プリンストン債に投資していた信用組合も破綻した。 
 
 なお、企業担当者の中にはバブル時代の財テクによる巨額の損失を隠すためプリンストン債に70億円を投資、うち5億円をキックバックの賄賂として受け取っていた者までいた。

 11月30日リパブリック銀行の株主総会で買収が承認された。
 この年の12月3日、犯罪組織による口封じのためか、モナコでサフラは自宅に放火されて殺害された。
  
   
    
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posted by まねきねこ at 06:39| 愛知 ☀| Comment(0) | 人物伝 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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