第2次世界大戦(World War II)後にナチス・ドイツ(Nazis)の列車が行方不明になったとされる古い俗説が、ポーランドで再び注目を集めている──ナチスに強奪された黄金や宝石を満載したまま姿を消したとされる装甲列車が、同国南西部で発見されたとのうわさがメディアを通じて報じられたためだ。
同国最大の全国紙「選挙新聞(Gazeta Wyborcza)」に「ヒトラー(Hitler)の黄金列車発見か?」として伝えられたニュースは、公共放送ポーランド・テレビ(TVP)、タブロイド紙「ファクト(Fakt)」、民営テレビ局TVN24などの他メディアでも相次いで取り上げられた。
黄金列車の俗説は、南西部の都市バウブジフ(Walbrzych)近郊にある巨大な秘密地下トンネルをめぐるもの。ナチス・ドイツは、強制労働者や強制収容所に入れられた人々を労働者として動員し、このトンネルを建設した。
「リーズ(Riese、巨大の意)」というコードネームで呼ばれたこのトンネル群は、連合軍の爆撃を受けずに戦略兵器を製造できるとして、旧ドイツ軍によって造られた。
トンネル群の一部は現在、一般開放されているが、この地域は、ナチスの第三帝国(Third Reich)が財宝を地下通路に隠したとの古い俗説を信じるトレジャーハンターたちの関心の的ともなっている。
全長120〜150メートルの列車を発見したと主張するドイツ人とポーランド人の男性2人の代理人によると、当の本人たちは、列車に黄金が積まれているかどうかは定かではないと話しているという。
代理人のヤロスワフ・クミエレフスキー(Jaroslaw Chmielewski)氏は、同国ニュースポータルサイトOnetの取材に「2人は真剣だ。面談時に2人が提示した内容は、この(列車の)件に非常に信ぴょう性があることを信じさせるに足るものだ」と語っている。
その一方で、「しかしながら、クライアントの2人は、それが本当に(黄金などの貴重品を満載した)かの有名な(ナチスの)列車かどうかについては懐疑的だ」としながら、「だがわれわれは、その可能性を完全には排除できないでいる」とも述べている。
この件について、バウブジフ市当局の広報担当、アルカディウシュ・グルジェン(Arkadiusz Grudzien)氏はAFPの取材に対し、男性2人が「装甲列車の可能性が高い列車車両の位置を特定した」とする内容の法的文書を確かに受領したと語った。
グルジェン氏によると、発見物の正確な位置に関する記載はなかったが、男性2人は市当局者との面会を求めたという。
地元ラジオ局「ブロツラフ(Wroclaw)」は、男性2人が列車内で発見される可能性があるものすべてを対象に10%の分配を要求していると伝えており、またTVN24の報道でも、「2人は、黄金が満載された行方不明の列車を発見したと主張。見返りを求めている」と報じられた。