蟻鼻銭(ぎびせん)
中国の戦国時代に現在の中国南部を治めていた楚で鋳造した銅貨。
平面形は楕円形ないしは卵形で表は弧面となっており、端部に1孔と文字が陰刻してある。
裏は平たん。
長さ2cm弱で厚さ約2mm、重さ3.5g程度のものが多いものの大小は一定せず5gに達するものもある。
蟻鼻銭に書かれた文字は20種近くが確認されている。
この文字は大きくは6種類に分類でき、その大多数が「咒」である。
このほかに少数の「各一朱」「君」「金」「行」「忻」がある。
宋代から蟻鼻銭とよばれている。
そもそも、蟻鼻銭とは貨幣の形とそこに刻まれた文字の形から呼ばれる名前であり、他の古銭とは違って、文字が凹んだ形で鋳造されている。
形式的には殷で用いられていたといわれる貝貨の伝統を受け継いだ銅製貝貨に分類される。