エドワード・ヘンリー・ハリマン（Edward Henry Harriman） 銀行家で鉄道経営者 日露戦争中には日本の戦費国債を1人で1千万円分も引き受けた。

エドワード・ヘンリー・ハリマン

　　　　　　　（Edward Henry Harriman）

　　　1848年2月20日 - 1909年9月9日　

　米国の銀行家で鉄道経営者

　トルーマン政権の商務長官だったW・アヴェレル・ハリマンの父親でもある。

　ハリマンは1848年2月20日、ニューヨーク州ヘムステッドで、聖公会の牧師である

　　　オーランド・ハリマン・シニア

　　　コーネリア・ニールソン

の息子として生まれた。

　彼にはオーランド・ハリマン・ジュニアという兄弟がいた。

　彼の曽祖父ウィリアム・ハリマンは1795年にイギリスから移住し、実業家兼貿易業者として成功した。

　少年時代、ハリマンは

　　　ロバート・パーカー・パロット家

が所有する地域（後にハリマン州立公園となる）にある

　　　グリーンウッド製鉄炉

で夏の間働いた。

　14歳で学校を辞め、ニューヨーク市のウォール街で雑用係としてビジネスキャリアをスタートさせ、22歳までに、彼はニューヨーク証券取引所の会員になった。

　なお、叔父の

　　　オリバー・ハリマン

は、それ以前にそこでキャリアを築いていた。

　ハリマンの義父は

　　　オグデンズバーグ・アンド・レイク・シャンプレーン鉄道会社

の社長であり、それがハリマンがニューヨーク州北部の交通に興味を持つきっかけとなった。

　1881年、33歳のハリマンは、小規模で経営難にあった

　　　レイク・オンタリオ・サザン鉄道

を買収したのち

　　　ソダス・ベイ・アンド・サザン鉄道

と改名し、再編したうえで

　　　ペンシルバニア鉄道

に売却し、かなりの利益を得た。

　これが、破産した鉄道会社の再建者としての彼のキャリアの始まりであった。

　ハリマンは、1897年に

　　　ユニオン・パシフィック鉄道

の取締役になったとき、

　1898年5月までに彼は執行委員会の議長となり、そのときから死ぬまで、彼の言葉は

　　　ユニオン・パシフィック鉄道システム

のルールとなった。

　1903年、ハリマンは会社の社長に就任した。

　1901年から1909年まで、ハリマンはサザン・パシフィック鉄道の社長も務めた。

　ハリマンは、UP/SP鉄道の統合のビジョンを植え付けた。

　UPとSPは、地上運輸委員会が合併を承認した1か月後の1996年9月11日に再統合された。

　1899年、ハリマンはアラスカ海岸の動植物を分類するための

　　　科学探検

を後援し、同行した。

　多くの著名な科学者や博物学者が、豪華に改装された全長250フィート（76メートル）の蒸気船

　　　SSジョージ・W・エルダー号

に乗って探検に参加した。

　クーンローブ商会の経営者

　　　ヤコブ・シフ

と共に日露戦争中には日本の戦費国債を1人で1千万円分も引き受けた。

　ポーツマス条約締結直後に訪日して、南満州鉄道の共同経営を申し込むため1億円という破格の財政援助を持ちかけた。

　ロシア帝国の勝利したものの賠償金を受けることも出来ずに戦費の支払いに困っていた日本側も背に腹を変えられず、渡りに船とばかりに乗り気となり1905年にポーツマス条約で獲得した奉天以南の東清鉄道の日米共同経営を規定した

　　　桂・ハリマン協定

を結んだ。

　しかし、日本の国益には成らないとの判断からか小村寿太郎外相の反対により破棄されたため、関東大震災で財政破綻するまで戦費国債の支払いに財政が抑圧され続けた。

　ハリマンは1905年に2か月間日本に滞在した。

　その後、柔術に興味を持つようになった。

　米国に帰国した際、彼は著名な柔道家

　　　富田常次郎

　　　前田光世

を含む6人の日本の柔術家を連れてきた。

　米国での多くの公演の中で、この一座は1905年2月7日にコロンビア大学の体育館で約600人の観客を集めたエキシビションを行った。

　
　1910年、ハリマンが推進したプロジェクトである

　　　ダンバートン鉄道橋

を最初の旅客列車が通過した。
　ハリマンは死去時に、

　　　ユニオン・パシフィック

　　　サザン・パシフィック

　　　セント・ジョセフ・アンド・グランド・アイランド

　　　イリノイ・セントラル

　　　セントラル・オブ・ジョージア

　　　パシフィック・メール・スチームシップ・カンパニー

　　　ウェルズ・ファーゴ・エクスプレス・カンパニー

を経営していた。

　彼の財産は1億5千万ドルから2億ドルと推定されている。その財産はすべて彼の妻に遺贈された。

　彼は優生学に強い関心を持っていた。

　1879年、ハリマンはニューヨーク州オグデンズバーグの銀行家ウィリアム・J・アヴェレルの娘

　　　メアリー・ウィリアムソン・アヴェレル

と結婚し、2人の間には6人の子供が生まれた。　

　・メアリー・ハリマン（1881–1934）

　　　1910年に彫刻家の

　　　　　チャールズ・キャリー・ラムゼイ（1879–1922）

　　と結婚した。
　・ヘンリー・ニールソン・ハリマン（1883年 - 1888年）

　　　若くして亡くなった。
　・コーネリア・ハリマン（1884–1966）

　　　1908年に

　　　　　ロバート・リヴィングストン・ゲリー・シニア（1877–1957）

　　と結婚した。 

　・キャロル・アヴェレル・ハリマン（1889–1948）

　　　1917年に

　　　　　リチャード・ペン・スミス・ジュニア（1893–1929）

　　と結婚した。

　　　彼の死後、彼女はW・プランケット・スチュワートと結婚した。

　　　プランケット・スチュワートは1930年にアレクサンダー・カサットの娘である

　　　　　エルシー・カサット

　　と結婚し離婚していた。

　・ウィリアム・アヴェレル・ハリマン（1891-1986）

　・エドワード・ローランド・ノエル・ハリマン（1895–1978）

　　　1917年にグラディス・フリース（1896–1983）と結婚した。

　ウィリアムは、

　　　ハリー・S・トルーマン大統領

の下で商務長官を務め、第48代ニューヨーク州知事、駐ソ連大使、駐英大使を務めた。

　ハリマンは1909年9月9日午後1時30分、61歳でアーデンの自宅で亡くなった。

　1899年のアラスカ探検に同行した博物学者ジョン・ミューアは、ハリマンの追悼文の中で「ほとんどあらゆる点で、彼は尊敬すべき人物だった」と記している。

　　

　ハリマンは映画『ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド』（1969年）で、エージェントが主人公たちの宿敵となる商業王として言及されている。

　映画の2度目の列車強盗では、鉄道員が強盗に協力しなかったのはハリマン個人に対する恩義のためだとし、ブッチとサンダンスの親しい友人の1人は、ハリマンがギャング団のリーダーを追跡するために有名な無法者ハンターを雇ったと述べている。
　映画『ワイルドバンチ』（1969年）では、パット・ハリガンという鉄道職員がハリマンの代役として登場する。
　ハリマンは、ビデオゲームシリーズ「Railroad Tycoon」でプレイ可能なキャラクターである。
　ハリマンは、2018年のビデオゲーム『レッド・デッド・リデンプション2』のレビティカス・コーンウォールのインスピレーションとなった数人の著名な産業界の人物のうちの1人です。

　　

　　　　↓　参考になったらクリックお願いします。