ヴィンセント・"チン"・ジガンテ（Vincent "the Chin" Gigante） ジェノヴェーゼ一家のボス

ヴィンセント・"チン"・ジガンテ（Vincent "the Chin" Gigante）

　　　1928年3月29日 - 2005年12月19日

　ＮＹの犯罪組織

　　　ジェノヴェーゼ一家

の一員で、後にボスとなった。

　あだ名のチンは顎の意味、オッド(Odd、奇妙な、頭のおかしい)・ファーザーの異名も持つ。

　ジェノヴェーゼ一家のメンバーは捜査当局の盗聴を恐れジガンテの名前を人前で出すことを厳禁されていた。

　彼のことを言うときは顎を指差すことでよかった。

　ナポリからの移民の息子としてニューヨークで生まれた。

　高校中退後、17歳から25歳の間に7回も逮捕されたという。

　その後、ボクサーになったが大成することにはならず、隣人だった

　　　トーマス・エボリ

がマネージャーをしていた縁をもとに、当時、ラッキー・ルチアーノが国外追放されたため組織を取りまとめるアンダーボス

　　　フランク・コステロ

がボス代行で組織が運営されていたルチアーノ一家に加入した。

　なお、ジガンテはルチアーノ一家内で

　　　アンソニー・"トニー・ベンダー"・ストロッロ

の部下となった。

　当時、ストロッロはコステロとルチアーノ一家のボスの座をめぐって争っていた

　　　ヴィト・ジェノヴェーゼ

にもっとも近い幹部の一人であった。

　ジガンテはジェノヴェーゼの命令によりフランク・コステロを狙撃したことで知られる。

　狙撃失敗による反撃を受けなかったジガンテはその後、ルチアーノ一家が自然に分かれたジェノヴェーゼ一家のなかで実力者に成り上がっていった。

　一家の指導的立場に立ち、また数々の裁判を抱えることになったが、特殊な作戦を用いて自らが

　　　精神錯乱

を装って演じ、多くの裁判を乗り切っている。

　なお、ニューヨークの街をバスローブでさまよう姿は、多くの人に目撃されている。

　精神錯乱を演じてからは

　　　アンソニー・"ファット･トニー"・サレルノ

にフロントボスの座を譲り、自分は組織を裏から指示するバックに入り影で組織を操っていた。

　ガンビーノ一家の

　　　ジョン・ゴッティ

が掟破りのボス殺しをしたため、ジガンテによる

　　　マフィア総出の復讐

を恐れてジガンテに義理立てしたことは有名な話。

　なお、1987年にジガンテは、ゴッティと弟のジーンを暗殺しようと計画した。

　これはFBIの盗聴で明らかになったもののFBIが利用価値を考えてゴッティ側に警告したため、計画は中止になり、その報復としてジガンテの部下が射殺されている。

　コミッション会議でジョン・ゴッティが息子の

　　　ジョン・ジュニア

がマフィアの構成員になったことを、ジガンテに報告したときジガンテは自分の息子をマフィアにするなんてと言う意味で

　　　それは、それはお気の毒に

と言ったという。

　資産を蓄え地位を高めたジガンテは勢力争いの犠牲となる恐れがあるため自分の息子を危険な職業でもあるマフィアにはしていない。

　2003年、司法取引により、ジガンテは精神錯乱が演技であったことを自認した。

　2010年に釈放されることになっていたが、2005年12月19日にジガンテはミズーリ州スプリングフィールドの刑務所内の病院で心臓病のために死亡した。

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