サルヴァトーレ・"サム"・ジアンカーナ
(Salvatore "Sam" Giancana)
1908年6月15日（記録では5月24日）-1975年6月19日）
シカゴのマフィア集団でシカゴ・アウトフィットのボス(1957年-1966年)として君臨した。
アル・カポネの部下として頭角を現し、カポネが引退後、シカゴを牛耳るボスとなった。
本名はサルヴァトーレ・ジアンガーナ(Salvatore Giangana)
"モモ"(Momo)、"モー"(Mo)、"ムーニー"(Mooney、｢狂った｣、という意味)、"Sam the Cigar"、"Sam Flood"などの渾名があった。
ケネディ家とは古くから深いつながりを持っており
ジョン・F・ケネディ
の当選の陰の功労者であり、暗殺の黒幕の一人とも言われている。
シチリア島のカステルヴェトラーノ出身で、シカゴでは野菜や果物を売って生活をしていた父アントニオ、母アントニアの長男としてシカゴのリトル・イタリーに生まれた。
父親は病弱の姉レナを可愛がっており、サムは可愛がってもらえなかったという。
さらに、アントニオは暴力で子供を押さえつけるタイプの親で虐待も受けたという。
なお、母親は1910年3月14日に流産により死亡している。
アントニオは再婚をして子供を増したがサムは腹違いの弟のチャックを可愛がったが、他の兄弟にはあまり興味が無かったという。
1933年9月23日にサムは
アンジェリーヌ・デトルヴ
（1954年4月10日に脳塞栓により死亡）
と結婚、3人の女の子の父親になった。
サムは姉のレナが夫から暴力を受けているのを知ったとき、夫の
トーニー・カンポ
を叩きのめしたこともあり、自分の気に入らない人間や敵には屈しないという人物であった。
また、ハリウッド女優の
シャーリー・マクレーン
を食事に誘ったが断られたため、暴力を振るったことがあったという。
1918年、10歳のとき学校へ行くのを止め、ストリートギャングに入り家にも帰らなくなった。
貧しく子沢山の家庭の父親はサムの居場所など知らず生活に追われていた。
10代後半でシカゴ・アウトフィットに入った頃は、シカゴ・アウトフィットの大物"ザ・キャメル"（"The Camel"）とも呼ばれた
マレー・ハンフリーズ
の下で働いていた。
ハンフリーズはサムの頭の良さには感心していたという。
そのうち、車の運転技術が認められ、アル・カポネの部下
の運転手をやるようになる。
こうして暗黒街の階段を登っていった。
がボスだった1940年代になるとサムは本格的にギャンブル事業に参加するチャンスを得てシカゴ市内に200ヶ所、市外にも24ヵ所の賭博場を保有していた。
当時アフリカ系アメリカ人の間で流行っていた
ポリシー（一般のナンバーズと同じ物）
などにも進出した。
塀の中で知り合った黒人賭博王の
エディ・ジョーンズ
と最初は共同で事業を始めたがポリシーの儲けが多いことに目をつけ、事業を乗っ取った。
その他の者には、政界や警察のコネを利用し彼らに圧力をかけて廃業に追い込み、事業を拡大していった。
1946年にはトニー・アッカルドの右腕に出世した。
1950年代になると全米で賭博場を持つほどビジネスを広げていった。
この頃には自称「トマトの販売人」でニューオーリンズを本拠地にした犯罪組織のボス
とも取引をしていたという。
ジアンカーナの仕事ぶりを見てユダヤ系ロシア人のギャングでラッキー・ルチアーノの右腕として活躍した
が金儲けの天才と言ったという。
1957年にジアンカーナは
の後を継いでシカゴ・アウトフィットのボスになった。
この頃、元ボスの
とアッカルドはIRS（国税局）に目を付けられており、圧力をかけられていた。
そのためアッカルドたちはジアンカーナに道を譲ったという。
同年11月のアパラチン会議を境にFBI長官
が組織犯罪撲滅を本格化し、1959年にFBIがサム・ジアンカーナの本部に盗聴器を仕掛けたことでコミッションの存在がFBIや政府に明らかにされた。
1960年代に入り、かつて大統領選に協力したはずの
ジョン・F・ケネディ
の政権がマフィアに対する締め付けを強めた。
この頃からは、世界規模のビジネスを進めるためメキシコで生活するようになる。
世間には「引退したギャングの亡命生活」といわれていたが
たちとは連絡を取っており、ランスキーとは会議をしたりしていたという。
この頃ドミニカに賭博場を作ろうという計画があったが関係を持っていた政治家の権力が落ちたため計画は失敗した。
1965年5月に司法省は文書破棄罪でジアンカーナを告発した。
ジアンカーナは証言を拒否したため、法廷侮辱罪でクック郡刑務所に拘禁された。その後、メキシコから国外退去処分を受けた。
さらに胆嚢疾患に患わされるなど健康状態も良くなかった。
1966年にはサム・バッタグリアにボスの座を譲り、シカゴに再び居を構えた。
過去にジアンカーナが好き放題にやったことでFBIからの取り締まりが厳しくなり、投獄された大物もいたため、ジアンカーナがシカゴに帰ってきたことを良く思わないマフィアは多くいた。
上院情報特別委員会に出頭するはずだったが、1975年6月19日にジアンカーナは自宅の地下室で後頭部を銃撃され暗殺された。
さらに口の周りに6発弾丸が打ち込まれていた。
その後も、チャールズ・"チャッキー"・ニコレッティ（Charles "Chuckie" Nicoletti）やジョージ・デ・モーレンシルト（George de Mohrenschildt）といった
ケネディ大統領暗殺事件
に関わったとされる人物がアメリカ下院特別委員会による
証人喚問
が決定した直後に殺害されるという事件が続いた。
ジアンカーナはマフィアとCIAはコインの裏と表だと言っていたことがある。
米国政府が国民に知られたら困るような
きたない仕事（殺しや武器の横流し）
はマフィアに頼む、と仲間に漏らしていた。
さらにマフィアとCIAが協力したことは1度だけではなく何度もあると明かした。
ジアンカーナは、CIAの依頼を受けてキューバの
フィデル・カストロ首相の暗殺計画
にも加わっていた。
カストロ暗殺計画を引き受けた3人のボスの一人。
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