カルロス・スリム・エルー
(Carlos Slim Helú)
1940年1月28日生まれ
メキシコの実業家・慈善家。
コングロマリットの
を所有し、同社を経由して何百もの企業に関与し、また、
テルメックス・テルセル (Telcel)
アメリカ・モービル (América Móvil)
を所有し、ラテンアメリカの通信産業に多大な影響を持っている。
カルロス・スリムはメキシコシティにてレバノンから移住したキリスト教マロン派(マロン典礼カトリック教会)信者の両親の下に生まれた。
カルロスの父親
フリアン・スリム・ハッダード
は1902年、14歳の時にメキシコに移住した。
当時、オスマン帝国による徴兵から逃れるため、子供を海外に移住させることは珍しいことではなく、フリアンの4人の兄も先に移住していたという。
カルロスは少年期より数字への興味が強く、わずか12歳で株式投資を始めた。その後、メキシコ国立自治大学に入学し工学を専攻した。
その傍ら代数学と線形計画問題について教鞭をとっていたと伝わる。
1990年、設立されたばかりの
と、やがてAT&Tを再編する
サウスウェスタン・ベル
との共同出資によりテレメックスを買収した。
アメリカ・モービル子会社の
テルセル
は、2006年11月にアメリカ大使の電報がウィキリークス経由で漏洩し、カルロスの所有する企業がメキシコ携帯電話市場の8割を独占していることが明らかとなった。
2010年1月29日のEmpresas Cablevisión vs JP Morgan Chase Bank 訴訟判決では、カルロスの躍進が
との密接な関係にあった事実が散見されている。
2012年4月、メキシコ当局による
反トラスト訴訟
で1億ドルの罰金を請求された。
2014年4月23日にはテレコム・オーストリアを傘下に収め、ヨーロッパ進出の足がかりとした。
2017年に比亜迪汽車(BYD)への支援者でも知られるライバルの
と同様にカルロスの所有するインバーサ傘下の
ジャイアント・モーターズ・ラテンアメリカ
は電気自動車に参入し、中華人民共和国の国有自動車メーカー
安徽江淮汽車
と提携してラテンアメリカ市場向けのスポーツ用多目的車を共同生産することが発表された。
同年に中国やメキシコとの貿易の見直しを掲げてアメリカ合衆国大統領に就任した
の保護貿易主義にカルロスは対抗したとされている。
2009年8月のフォーブスによれば以前は世界長者番付第3位だった。
2010年度版長者番付で資産総額535億アメリカドル(約4兆8000億円)、2011年度版の世界長者番付ではさらに資産を上げ740億アメリカドル(約6兆2000億円)、2012年度版の世界長者番付で690億ドル(約5兆6000億円)、2013年度版でも730億アメリカドル(約6兆7900億円)で世界長者番付4年連続1位を獲得した。
なお2014年以降は再びビル・ゲイツが1位となっている。
ソウマヤ美術館にコレクションを所有している。