クルップ
(Krupp)
ドイツのエッセンにあり、長い歴史を持つ重工業企業
ティッセン社と1999年に合併し
ティッセン・クルップ
が誕生した。
現在は巨大な工業コングロマリットとなっている。
鉄鋼企業のクルップはプロイセンの炭坑町・エッセンで
フリードリヒ・クルップ
Friedrich Krupp
(1787年-1826年)
が、ライン川の水力を動力に利用して鋳鉄工場を構えたのが創業の始まりという。
当時イギリスのシェフィールドが独占していた
鋼鉄の鋳造による製造
を試みた。
しかし、技術的な難関を乗り越えることができず、借金を重ねて倒産寸前まで追い込まれていた。
わずかな職人を雇用するこの工場でフリードリヒが亡くなった。
その後、14歳だった長男の
アルフレート・クルップ
(Alfred Krupp 1812年-1887年)
が跡継ぎとなり事業を引き継いだ。
アルフレートは研究を重ね、ついに鋳鋼の製造に成功し
工具や食卓ナイフ、スプーン
の製造を始めるようになった。
クルップは鋳型に模様をつけることにより、柄に花などの模様のあるスプーンを最初に作り出したといわれている。
その後、貨幣の鋳造機や蒸気機関車の車輪の製造を開始し
ドイツ関税同盟
が1834年に成立したことで、加盟国間での
関税や通行料
が廃止されたことから、大量の鉄道車輪の注文取り付けに成功した。
また、この年からクルップの工場は渇水のたび停止せざるを得ない水力発電に頼ることをやめた。
エッセンで最初とされる石炭エネルギーを利用した蒸気機関を動力に用いるようになった。
欧州列強の中で後進国であった当時のドイツで最初に鉄道が敷かれたのは意外に早い時期の1835年であった。
ナポレオンが倒れた後、ヨーロッパでは革命の嵐が吹き荒れフランスで1830年に7月革命、1848年に2月革命が起こった。
革命の機運の広がりを捉えたクルップは社会不安の高まりにより次第に武器の生産を拡大するの道を歩むようになり
戦争で繁盛するなら大いに結構
というクルップ家の伝統が形成されていったといわれている。