カルパー・リング（Culper Ring） アメリカ独立戦争中に活動したスパイ組織

カルパー・リングは（Culper Ring）

　アメリカ独立戦争中に活動したスパイ組織

で1778年、イギリス軍がニューヨーク市を占領していた際に、

　　　ベンジャミン・タルマッジ少佐

　　　ジョージ・ワシントン将軍

によって組織された。

　「カルパー」という名称はジョージ・ワシントンによって提案されたもので、バージニア州カルペパー郡に由来している。

　スパイ組織のリーダーは

　　　エイブラハム・ウッドハル

　　　ロバート・タウンゼント

で、それぞれ

　　　「サミュエル・カルパー・シニア」

　　　「サミュエル・カルパー・ジュニア」

という偽名を使っていた。

　なお、タルマッジは「ジョン・ボルトン」と呼ばれていた。

　タルマッジはスパイたちの直接の連絡役でありが、ワシントンはしばしば彼らの活動を指揮した。

　この組織は、イギリス軍司令部であるニューヨーク市における

　　　イギリス軍の作戦に関する情報

をワシントンに提供することを任務としていた。

　メンバーは、1778年10月下旬から1783年のイギリス軍によるニューヨーク撤退までの間、主にニューヨーク市、ロングアイランド、コネチカットで活動した。

　スパイ組織から提供された情報には、

　　　ロシャンボー中将

が率いる新進フランス軍が困難な航海から回復する前にロードアイランド州ニューポートに到着した

　　　奇襲攻撃の詳細

や、大陸会議が大陸ドル紙幣の廃止を決定した、

　　　大陸ドル紙幣の紙幣を偽造

するというイギリスの計画まで含まれていた。

　また、スパイ組織はワシントンに、1779年7月の

　　　トライオン襲撃

は、彼の軍隊を分裂させ、

　　　ヘンリー・クリントン中将

が部分的に攻撃できるようにすることが目的であったと伝えた。

　1780年、カルパー組織は、後に

　　　ベネディクト・アーノルド

と特定されるアメリカ軍高官が、イギリス軍の

　　　ジョン・アンドレ少佐

と共謀して、ニューヨーク州ハドソン川沿いのウェストポイントにある極めて重要な

　　　アメリカ軍要塞

を明け渡し、その守備隊をイギリス軍に引き渡そうとしていることを突き止めた。
　イギリス軍の

　　　ウィリアム・ハウ少将

がスタテン島から撤退する以前、ジョージ・ワシントンは

　　　ローレンス・マスコル

のような、独立して活動し、明確な指示を受けていない個々のスパイから、様々な有用性を持つ情報を受け取っていた。

　大陸軍をブルックリン・ハイツから撤退させた後、ワシントンは

　　　ウィリアム・ヒース

　　　ジョージ・クリントン

にロングアイランドに「情報経路」を確立するよう依頼した。

　ただ、敵陣の背後に常駐のスパイを配置しようとはしていなかった。

　その代わりに、彼はスパイ活動への志願者を募った。

　その中にネイサン・ヘイル大尉がいた。

　ネイサン大尉は偽名でニューヨーク市に赴いたが、すぐにイギリス軍に捕らえられ、1776年9月22日に処刑された。

　この出来事から、ワシントンはイギリス軍の作戦に潜入するに​​は、

　　　より慎重かつ組織化された諜報活動システム

が必要であることを認識した。

　ワシントンは民間人の方が兵士よりも注目を集めにくいと判断し、

　　　ウィリアム・デューア

に適切なスパイの推薦を依頼した。

　デューアはナサニエル・サケットを推薦した。

　彼の軍隊での連絡先はヘイルの元同級生の

　　　ベンジャミン・タルマジ大尉

であった。
　サケットは、イギリス軍がフィラデルフィア方面作戦のために平底船を建造していることを発見するなど、ある程度の成功を収めた。

　しかし、ワシントンはサケットが十分な正確かつ迅速な情報を提供していないと感じ、すぐにサケットに報酬を支払った。

　 1777年初頭、アメリカのエリアス・デイトン大佐はスタテン島にスパイ網を構築した。

　また、既存のマーセロー・リングと呼ばれる諜報網と連携した。

　1777年9月11日の

　　　ブランディワインの戦い

におけるイギリス軍の大勝利は、9月26日のフィラデルフィア占領につながった。

　占領地のフィラデルフィアは新たな情報収集の焦点となった。

　ワシントンはこの任務を

　　　ジョン・クラーク少佐

に任せた。

　ブランディワインの戦いで負傷した後、復帰したばかりのクラークは、効果的な情報網を構築した。

　ただ、健康状態が優れず事務職に就かざるを得なかった。
　1778年8月、ワシントンはコネチカット州ノーウォークに駐屯していた

　　　ケイレブ・ブリュースター中尉

からの情報提供の申し出を受け入れた。

　彼の最初の報告書には、ロードアイランドの戦い前のイギリス軍艦の状況と、ロードアイランド州ニューポートへの数個連隊の派遣に関する詳細な情報が含まれていた。

　ワシントンはチャールズ・スコット将軍に、ブリュースターの指揮と、タルマッジの助力を得て追加の諜報員を探すよう依頼した。

　スコットはほとんどの業務をタルマッジに委託した。

　ワシントンはタルマッジにニューヨーク市で信頼できる諜報員を募集するよう依頼した。

　ブリュースターとの連絡係として、タルマッジはロングアイランドのセタウケット出身の幼なじみ、

　　　エイブラハム・ウッドハル

を推薦した。

　ワシントンは、若い頃に測量士として働いていたバージニア州カルペパー郡にちなんで、「サミュエル・カルパー」という偽名を提案した可能性がある。

　タルマッジとスコットはそれぞれ異なるアプローチをとった。

　スコットは任務完了ごとに基地に戻る単発任務のエージェントを好んだ。

　タルマッジはエージェントを基地に送り込み、安全な通信回線を確立することを支持した。

　スコットは9月初旬にニューヨーク市に派遣された5人のエージェントのうち3人を失った。

　このため、ワシントンはタルマッジの手法を採用すべきだと判断した。

　彼はウッドハルとブリュースターと共に、イギリス軍基地に潜入するネットワークの構築について協議を開始した。

　スコットは10月29日に辞任し、タルマッジが後任として情報部長に就任した。
　ウッドハルは数週間おきにニューヨーク市へ通い、情報収集を行っていた。

　彼の既婚の姉

　　　メアリー・アンダーヒル

がニューヨーク市に住んでおり、彼に訪問の正当な理由を与えていた。

　彼は1778年10月31日にイギリス軍の検問所で尋問を受けた。

　危険な任務に対する不安が増したが、イギリス軍の

　　　補給艦隊に関する貴重な情報

を持ち帰り、セタウケットに戻った。

　彼は11月23日、ニューヨーク市にいるイギリス軍部隊の身元、兵数、配置に関する正確な報告書を提出した。

　スパイとしての彼の価値を証明した。

　 ウッドハルはすぐに義理の兄弟

　　　エイモス・アンダーヒル

を情報収集のために雇った。

　アンダーヒルは妻メアリーと共にニューヨーク市で下宿屋を経営していた。

　ただ、アンダーヒルの報告書は漠然としたものが多く、あまり役に立たなかった。
　当初、ウッドハルはセタウケットに戻って

　　　ケイレブ・ブリュースター

に伝言を渡し、ブリュースターがそれをタルマッジに届けるか、タルマッジからの伝言をブリュースター経由で受け取る必要があった。

　タルマッジは12月にニューヨークとセタウケット間の55マイル（89 km）を伝言を運ぶ伝令を配置した。

　当初はジョナス・ホーキンスが、初夏以降は主にオースティン・ローが担った。

　伝令の任務は手紙をブリュースターに届けることだった。

　ブリュースターはセタウケット近くの6つの人里離れた入り江の1つで伝言を受け取り、交代制の捕鯨船の乗組員と共にロングアイランド湾を渡り、コネチカット州フェアフィールドのタルマッジに届けた。

　タルマッジはその後、手紙をワシントンの司令部へ届けた。

　この時間のかかる任務は、1779年1月にタルマッジからワシントンへ伝言を運ぶ急使の配置に置き換えられた。

　地元の伝承によると、セタウケット在住でエイブラハム・ウッドハルの友人であり隣人でもあった

　　　アンナ・ストロング

は、スパイ組織からの情報を伝達するのを手伝っていた。

　彼女は、スパイの一人が情報を提出する準備ができたことを知らせる、事前に決められた合図を物干し竿に掛けていた。

　彼女が黒いペチコートを物干し竿に掛けると、ブリュースターが捕鯨船で町に到着したことを意味する。

　また、彼女は白いハンカチを何枚も掛けて、彼が6つの隠れ場所のどれにいるかを示していた。

　ウッドハルは彼女の合図でブリュースターと会ったり、待ち合わせ場所にメッセージを残したりした。

　なお、歴史家のリチャード・ウェルチは、物干し竿の合図の伝承は検証できないと述べている。

　ただ、イギリス軍がアンナの愛国者活動のプロフィールに合致する

　　　セタウケットの女性を疑っていたこと

は知られている。

　ブリュースターは時折、カルパーへのメッセージに自身の報告を付け加えていた。

　ワシントンが2月初旬に受け取った1779年1月の報告書では、ブリュースターはニューヨーク市における海軍関連事項と船舶建造に関する情報を提供し、ロイヤリストがロングアイランド湾での作戦に備えて

　　　私掠船を艤装

していると警告していた。

　この報告はウッドハルからのメッセージと共に届けられており、マンハッタン北端に駐留するイギリス軍連隊と指揮官の人数が正確に記されており、その数は約8,500人だった。

　ウッドハルもまたイギリス軍の船舶建造について報告し、ブリュースターの報告を裏付けていた。

　トールマッジとワシントンは、これらの船舶は冬季に襲撃を行った

　　　ウィリアム・トライオン少将

がコネチカット攻撃のために輸送するために計画されたものかもしれないと考えた。

　ウッドハルは発見されることをますます不安に思い、1779年5月と6月はほとんど何もしなかった。

　ジョン・ウルジーはイギリス軍に捕らえられたロングアイランドの私掠船員だった。

　仮釈放を確保するため、ウルジーは6月5日にイギリス軍将校たちに、ウッドハルが何か怪しいことを企んでいると告げた。

　クイーンズ・レンジャーズの指揮官、

　　　ジョン・グレイブス・シムコー大佐

は、ウッドハルを捜すためにセタウケットに来たが、彼はニューヨーク市にいた。

　シムコーの部下たちはウッドハルの父、

　　　リチャード・ウッドハル判事

を襲撃して殴打した。

　エイブラハム・ウッドハルは、ロイヤリスト民兵の将校でウッドハル家の一員と結婚していた

　　　ベンジャミン・フロイド大佐

が保証人になったため逮捕を免れた。

　ウッドハルは、6月にシムコーが訪問した後は疑いがあるためニューヨーク市での活動を続けることはできないが、ウッドハルには新しいエージェントがいて、ニューヨークに行ってそのエージェントと最終調整をする予定であると報告した
　6月下旬、ワシントンはタルマッジに手紙を送り、その中でジョージ・ヒグデイがニューヨーク市でウッドハルの交代要員となる可能性のある工作員であると指摘した。

　イギリス軍は、ワシントンから6月13日付で送られた手紙を傍受しており、そこには「C______」とタルマッジについて言及されていた。7月2日、

　　　バナスター・タールトン大佐

が率いるイギリス騎兵隊がタルマッジの陣営を襲撃し、彼の馬と書類の一部を押収した。

　その中にはヒグデイについて言及した手紙も含まれていた。

　彼らはタルマッジがワシントンの諜報活動の責任者であることを知っていたため、彼を捕らえようとしていた。

　2通目の手紙は、工作員C______がニューヨーク市で活動しており、タルマッジがワシントンの主任情報将校であることを裏付けていた。

　ヒグデイは処刑を免れたが、ワシントンにとっても、彼を二重スパイとして採用しようとしたクリントンにとっても、スパイとしては役に立たなかった。
　1779年6月、ウッドハルは

　　　ロバート・タウンゼント

に「サミュエル・カルパー・ジュニア」という偽名を使ってニューヨーク市で情報収集を依頼した。

　タウンゼントはニューヨークで事業を行っており、彼の存在はウッドハルの訪問よりも疑惑を招きにくいものであった。

　彼は自身の仕立て屋を含む様々なルートを通じてイギリス軍将校と接触していた。

　また、ロイヤリスト系新聞に社交欄を執筆し、新聞社のオーナーでカルパー・リングの秘密メンバーでもあった

　　　ジェームズ・リヴィントン

と共にコーヒーハウスの株式を保有していた。
　タウンゼントがニューヨーク市で諜報活動を開始すると、

　　　ウッドハル

はほぼセタウケットを拠点として活動し、通信網を改訂した。

　タウンゼントは情報を伝令（当初はホーキンス、後にホーキンスとロー、1779年9月以降はローのみ）に渡した。

　伝令はそれをセタウケットに持ち込み、そこからウッドハルに渡す。

　通常は、ローがウッドハルから借りていた畑に隠された箱に、直接投函する方式だった。

　ウッドハルは情報を評価し、コメントした後、ブリュースターに渡す。

　ブリュースターは時折、独自の情報メモを添え、ロングアイランド湾を越えてタルマッジに渡すこともあった。

　タルマッジは通常、コメントを添えたカバーレターを添えて、伝令役を務める竜騎兵のリレーによってメッセージを送受信した。
　ホーキンスは当初は大胆な行動をとっていたが、後にイギリス軍の哨戒隊に対する不安を募らせるようになった。

　4月から7月にかけて、

　　　トールマージ

が暗号帳でローに暗号番号を割り当てたのに対し、ホーキンスには割り当てなかった。

　このため、彼の役割は縮小された。

　ウッドハルは8月15日の暗号文で、ホーキンスはカルパー・ジュニアからの手紙を破棄しなければ捕らえられると記している。

　また、ホーキンスはタウンゼントとの次回の会合は人里離れた場所で行うことを主張したとも記している。

　タウンゼントはさらなるリスクを負うことを嫌がり、ホーキンスの信頼性を疑い始め、破棄された手紙を後悔し始めていた。

　タウンゼントがホーキンスとの取引を拒否した。

　このため、ホーキンスは1779年9月、スパイ組織への伝令業務を最終的に停止した。

　ウッドハルは9月11日に運び屋として行動し、タウンゼントに以前の手紙が紛失したことを説明した。

　そしてローはリングの唯一の常任運び屋になった。
　スパイ組織の秘密主義は厳格で、ワシントンは工作員全員の身元を把握していなかった。

　タウンゼントはウッドハルにスカウトされたが、ウッドハルはタウンゼントの身元を明かさないよう特に強く主張した。

　しかし、オースティン・ローとジョナス・ホーキンスはタウンゼントを知る必要があった。

　カルパー・リングが情報伝達に用いた手法には、

　　　新聞に掲載された暗号文

や、一見普通の文字に見える文字の行間に書き込む

　　　「シンパシー・ステイン」

と呼ばれる透明インクなどがあった。

　リング活動開始から数ヶ月間は、複雑な暗号網と透明インクが利用可能になるまでは、情報を隠すために粗雑な戦術に頼らざるを得ず、記憶手段としては少数の暗号に頼っていた。

　ウッドハルは最初の書簡で、10番（ニューヨーク）、30番と40番（ポスト・ライダーズ）、そして20番（セタウケット）という暗号を使用した。

　タルマッジは、語彙を増やすために暗号書を作成することの重要性を認識した。

　1779年7月までに、動詞、名詞、人名、地名とそれに対応するコード番号を一覧にしたポケット辞書を完成させた。

　辞書はワシントン、ウッドハル、タウンゼント、そしてタルマッジ自身に渡され、敵の手に渡らないようにした。

　暗号の使用により、手紙は非常に複雑になり、書くことと理解することに多大な労力を要した。

　この暗号書は、ワシントンがカルパー・リングのスパイたちに、おそらく

　　　ネイサン・ヘイル

を念頭に置いて、以前の大陸のスパイよりも多くの支援とより秘密裏に活動することを確実にするのに役立った。

　タルマッジ、ウッドハル、タウンゼントには、ワシントン、ブリュースター、ロー、リヴィントンと共にコードネームとコード番号が与えられまた。

　ワシントンのコード番号は711であった。
　一般の人々は1930年代までカルパー・リングの存在を知ることはなかった。

　ロバート・タウンゼントが「カルパー・ジュニア」であることは、1929年にタウンゼント家の自宅でタウンゼントが書いた

　　　古い手紙の調査中

に判明した。

　歴史家モートン・ペニーパッカーは手紙を調査し、トランクから見つかったロバート・タウンゼントが書いた手紙の筆跡が、ワシントンのコレクションにある「サミュエル・カルパー・ジュニア」が書いた手紙の筆跡と似ていることに気づいた。

　ペニーパッカーは、疑似文書鑑定官の

　　　アルバート・S・オズボーン

に筆跡が一致することを確認した。

　その後、他の証拠によってタウンゼントの身元が裏付けられた。

　ジェームズ・リヴィントンがリングのメンバーであることが学者によって確認されたのは1950年代になってからである。

　ジョージ・スミス「S.G.」 について、1950年代、スミスタウンの地元歴史家

　　　ヴァージニア・エッケルズ・マローン

は、1781年にカルパー・ジュニアの後任としてカルパー・リングに加わったスパイのコードネーム「S.G.」が、元々はニッセクォーグ出身でリチャード・「ブル」・スミスの曾孫である

　　　ジョージ・スミス

であることを発見した。

　彼女は1959年からスミスタウン・ニュース紙に「昔のニュース」と題したシリーズで調査結果を発表した。

　2015年、マーク・スターンバーグはロイヤリストの兵士

　　　ネヘミア・マークス

の手紙を発見した。

　この手紙には、ナサニエル・ローとフィリップ・ロー兄弟がスパイ組織の支援者であり、ナサニエルが情報提供を、フィリップが物資援助を行っていたことが記されていた。

　この手紙はまた、カルパー・リングがセタウケットとオイスター・ベイの先にあるドラウンド・メドウで活動していたという、これまで考えられていた証拠も提示している。

　この手紙はミシガン大学のウィリアム・L・クレメンツ図書館に所蔵されており、ポート・ジェファーソンの元住民でカルパー・リングを研究していたスターンバーグがそこで発見した。

　2022年、スターンバーグはアナ・「ナンシー」・スミス・ストロングの夫である

　　　セラ・ストロング

がカルパー・リングの活動的なメンバーであったことを発見した。

　2022年秋にニューヨーク・アーカイブ誌に掲載された記事「セラ・ストロング：記録が明らかにするカルパー・スパイ組織の見過ごされてきた英雄」の中で、スターンバーグはセラ・ストロングをめぐる通説を解明した。

　なお、彼の投獄期間の長さや、釈放後にコネチカットに逃亡したことは一度もなかったこと、そして独立戦争中に家族と住んでいた場所などを明らかにしている。

　スターンバーグはまた、1835年の年金申請書に記された

　　　ロバート・ブラッシュ

の証言録取書を引用している。

　ブラッシュはケイレブ・ブリュースターの捕鯨船の乗組員であり、彼の証言録取書には、組織におけるセラの役割が次のように記されている。

　マーク・スターンバーグは、その功績により、TBRニュースメディアから2022年のパーソン・オブ・ザ・イヤーに選出された。

　女性は軍司令官にとって脅威とはみなされていなかったため、司令官は妨害されることなくスパイ活動を行うことができた。

　コックやメイドとして働く女性が兵士のスパイ活動に採用された。

　カルパー・スパイ組織で重要な役割を果たした著名な女性は、

　　　エージェント355

である。

　エージェント355は、反逆者

　　　ベネディクト・アーノルド

の逮捕につながる情報を提供したことで最もよく知られている。

　このエージェント355を情報収集者と記す情報源もあるが、コード番号は単に

　　　アンナ・ストロング

を指していた、あるいはエイブラハム・ウッドハルの手紙にあった不可解な言及を誤解したものだと信じる情報源もある。

　カルパー・スパイ組織への情報提供者は他にもおり、ロバート・タウンゼントの妹サラ（サリー）・タウンゼントやエイブラハム・ウッドハルの妹メアリー・アンダーヒルは、ジョン・アンドレ少佐とその偽名

　　　ジョン・アンダーソン

に関する重要な情報を提供したとされる。

　組織のメンバーは、様々な情報源から情報を収集した。

　その中には、何も知らないイギリス軍将校以外の人物も含まれていた。

　情報提供者や仲間には、ロングアイランド在住のジョセフ・ローレンス、エイブラハム・ウッドハルの叔父でロイヤリスト民兵隊の将校を務め、エイブラハムに情報を提供した

　　　ネイサン・ウッドハル大尉

1713年生まれの教師兼医師の

　　　ナサニエル・ラグルズ

ブリュースターの副官で時折代理を務めた

　　　ジョシュア・デイビス

そして商人の

　　　ウィリアム・T・ロビンソン

などがいた。

　ヘラクレス・マリガンは、アレクサンダー・ハミルトンによってニューヨーク市で大陸軍のスパイとして採用された。

　1740年生まれの彼は、タウンゼントの父の友人であり、自由の息子たちの活動的なメンバーでもあった。

　1773年、ハミルトンがキングス・カレッジに入学するためにニューヨークに到着した際、彼は孤児のハミルトンを引き取り、後にハミルトンが陸軍に入隊するのを手助けした。

　彼はイギリス海軍提督の娘である

　　　エリザベス・サンダース

と結婚しており、ロバート・タウンゼントの店の近くで流行の衣料品店も経営していた。

　これらの事情により、彼は軍事問題について率直に話してくれる将校たちと繋がりを持つことができた。

　マリガンは、カルパー・リングが結成されるずっと前の1776年末か1777年初頭に活動を開始した。

　歴史家スティーブン・ノットは、マリガンはカルパー・リングに協力していたものの、主に単独のエージェントとして活動していたと述べている。

　アレクサンダー・ローズは、マリガンがタウンゼントに情報を提供し、タウンゼントがそれを報告書に加えたと述べている。

　マリガンの奴隷であるケイトーは、彼の諜報活動における「忠実な共犯者」だった。

　1779年1月、ケイトーはジョージ・ワシントンの補佐官

　　　アレクサンダー・ハミルトン

に、イギリス軍とロイヤリストがワシントンとニュージャージー州知事

　　　ウィリアム・リビングストン

を含む著名な愛国者指導者数名を捕らえる計画を立てているというマリガンからのメッセージを伝えた。

　マリガンは、コートライト・アンド・カンパニーを通じてイギリス軍の請負業者として働いていた弟ヒューから情報を得ていた。
　ベネディクト・アーノルドがニューヨークで亡命した後、イギリス軍はマリガンをスパイ容疑で逮捕した。

　タウンゼントは、自分も発覚することを恐れ、しばらくの間活動を中止した。

　ウッドハルは、タウンゼントが「この通信に常に貢献してきた人物」の逮捕に落胆し、懸念していることを伝えた。

　アーノルドはマリガンに対する確固たる証拠を持っていなかったため釈放されたが、1781年2月まで、最大5ヶ月間獄中にあったとされる。

　釈放後も彼はひるむことなく情報収集を続けた。

　マリガンは、1781年3月5日にロシャンボーとの会談に向かうワシントンをイギリス軍が待ち伏せ攻撃する計画を企てていることを知った。

　マリガンとケイトは依然として疑惑の目を向けられており、ワシントンの司令部と直接連絡を取ることができなかった。

　このため、マリガンはタウンゼントに情報を渡し、タウンゼントはそれをカルパー・リング経由でワシントンに送った。

　このメッセージはワシントンが罠を回避し、別のルートで会合に向かうのに間に合うように届いた。

　アレクサンダー・ローズは、「ジョン・コーク」は正体不明の情報提供者のコードネームだったと記している。

　ハリー・セイヤー・マホーニーは、ニューヨーク州グロトン出身の

　　　ジョン・コーク

が保守党員を装い、ニューヨーク市との往復を可能にしたのは「英国司令部と非常に親密な関係にあった」ためだと記している。

　コークはタルマッジに目に見えないインクで諜報報告書を書いたり、口頭で報告したりした。

　マホーニーは、ワシントンとタルマッジがコークをカルパー・リングにとって貴重な人材と見なしていたと述べている。

　　　

内部関係者の株売却が広がり、米株大荒れ前の１−３月にはザッカーバーグ氏ら上位を占めた。

　メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグ、オラクルのサフラ・キャッツ、ＪＰモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン各最高経営責任者（ＣＥＯ）ら企業幹部が、１−３月（第１四半期）に数十億ドルの保有株を売却していたことが分かった。

　こうした動きは、トランプ米大統領の上乗せ関税発表に伴い金融市場が混乱する前のタイミングで株式を手放していたことになる。

　内部関係者による株式の売買を追跡する
　　　ワシントン・サービス
の分析によれば、ザッカーバーグ氏は１−３月期に「チャーン・ザッカーバーグ・イニシアチブ」および関連財団を通じて株式110万株、金額にして７億3300万ドル（約1042億円）相当を売却した。
　売却はすべて１−２月に行われており、当時メタの株価は600ドルを上回っていた。
　バレンタインデーには約736ドルと、最高値を記録した。
　その後、同社株価は市場全体の下落に伴い、32％値を下げている。

　ダイモン氏は１−３月期に約２億3400万ドル相当のＪＰモルガン株式を売却した。同インデックスによれば、同氏の純資産は30億ドル。

　１−３月期は市場にとって振れの大きい時期だった。
　第２次トランプ政権の発足直後はテクノロジー株が大きく上昇した。
　だが、世界各国・地域に対する上乗せ関税の発表を４月２日に控えた不透明感から、その後は売りが膨らみ、世界の株式市場から数兆ドルが失われた。

　世界一の富豪である
　　　イーロン・マスク氏
も、今年に入り1290億ドルの資産を失っており、関税を巡る懸念がテクノロジー株全体を直撃している。
　一方で、内部関係者の間では、株価に割安感が出ている現在の局面を利用して、持ち分を買い増す動きもすでに出ている。

　ワシントン・サービスによると、内部関係者による株式売却は前年同期と比べて減少している。
　2024年１−３月は4702人が総額281億ドル相当の株式を売却したのに対し、25年の同時期は3867人が計155億ドルを売却した。
　昨年は、２月にアマゾン・ドット・コムの株式およそ85億ドル相当を売却したジェフ・ベゾス氏が押し上げ要因となっていた。
　今年は上位10人の売却がおよそ38億ドル相当と、比較的分散していた。

　　　
　　　

陰る米国例外主義の背後で異変が起きており、米ドルを忌避し、現地通貨建て新興国債券にマネーが流入

　新興市場国の現地通貨建て債券が、ドル建ての新興国債券をアウトパフォームするとの見方が強まっている。

　原油価格下落に伴う
　　　インフレ圧力の緩和
に加え、国際貿易を巡る混乱で新興市場国における
　　　利下げ観測
が強まっていることが追い風となっており、
　　　現地通貨建て債
は今年に入り、2022年以来、最も好調なスタートを切った。

　こうした半面、トランプ米大統領による
　　　関税を巡る発言
が米ドルの重しとなり、ドル建て債は精彩を欠いている。

　ブルームバーグの指数によれば、新興市場国の現地通貨建て債券は年初来で3.2％のリターンを記録しており、ドル建て債の0.7％を大きく上回っている。

　この結果、リスクが高いとされる現地通貨建て債券の利回りが、通常は安全資産とされるドル建て債よりも低い水準で取引される異例の状況に陥っている。
　現地通貨建て債指数の平均利回りは4.03％まで低下し、ドル建て新興国債指数の7.1％、米国債指数の4.12％を下回っている。

　足元で現地通貨建て債の大きな追い風となっているのが、新興国の中銀が金融緩和に動くとの観測やトランプ大統領の上乗せ関税発表に伴う世界的な混乱が背景にある。

　ブルームバーグのデータによると、18の新興市場国を対象とした１年物金利スワップの指数は４月だけで約15ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）低下した。
　月間では昨年９月以来の大幅な下げとなる見通しだ。

　また、ドルの先行きに対する懸念の高まりから、ドル建て債の発行を控える動きも出てきた。

　ブルームバーグの集計によると、中国を除く新興市場国によるドル建て債券の発行額は月初来で前年同期比36％減の51億ドル（約7200億円）にとどまっている。

　　　

トランプ米政権が大統領令草案で国務省の大規模再編・削減を提案

　米国務省の大規模な再編および削減を提案するトランプ政権の大統領令の草案が、米外交官の間で広まっている。

　「国務省の大規模再編・削減」が実施されれば、国務省にとっては1789年の創設以来、最大級の再編となる。
　文書の内容を知る関係者が匿名を条件にメディアの取材に対し明らかにしたところによれば、16ページにわたる草案は世界各地に駐在する外交官の間で共有されている。

　ルビオ国務長官は20日、ソーシャルメディア「Ｘ（旧ツイッター）」への投稿で、組織再編に関する報道は「フェイクニュースだ」と否定した。

　この草案では、多数の職位や部署を廃止する方針で、これには気候、難民、民主主義、アフリカ関連の担当、および国連と連携する国際機関局などが含まれる。
　また、カナダでの外交活動の大幅縮小も盛り込まれている。

　トランプ大統領は、米国が中心となって構築してきた多国間の国際秩序に否定的な立場で、今回の動きも米国の関与を縮小する取り組みの一環とみられている。

　草案では、国務省をインド太平洋、中南米、中東、ユーラシアの四つの地域局に再編する。
　また、具体的な数は明記されていないが、サハラ以南のアフリカにある「必須ではない」大使館および領事館が複数閉鎖される見通しだ。

　提案された変更は10月１日までに実施されるべきだと記されている。

　トランプ氏がこの草案の全ての内容に同意して署名するかどうかはなお不明だ。

　アフリカ駐在の高官は22日にも発表される可能性がある国務省改革について、この草案より小規模になるだろうと述べた。

　ソーシャルメディア、レディットの外交関連掲示板に投稿している一部職員もこの草案の実現について疑念を示した。
　ある投稿は、後で発表する小規模だが不人気の改革案を受け入れさせるためにリークされたのではないかと疑っているとした上で、すぐに反対に直面してトランプ氏の任期中には実施されないだろうとコメントした。

　草案では、外交官は今後、ローテーションで世界を異動するのではなく、特定地域に配属され、キャリアを通じてその地域にとどまるとされる。
　また、地域配属を望まない外交官は９月30日まで早期退職を申請できる。

　外交官試験では「大統領の外交政策ビジョンに沿った姿勢」が求められる。 さらに「全ての職位と職務は、大統領から書面で承認を受けなければならない」とされている。

　　　　
　
ひとこと
　草案の存在が暴露されたことで、批判が広がるのを恐れ否定したのか、意図的に流して別の問題に注目が集まらないようにしたのかは不明だが、どちらにしても米国が内向きになる動きであり、世界経済から離脱する流れのひとつだろう。
　米国ん孤立主義が強まれば、米ドルや米国債を持つのは最低限にしておくべきであり、日米安保の価値そのものが低下するため日本の防衛の強化が早急に必要となっている。
　そもそも、有事に米軍を頼ることなど出来ないのは過去も現在も未来も同じであり、米国に被害がある場合の話の延長の夢物語であり、自主的な防衛強化が急務だろ。
　表で駐留米軍に支出費用より、裏で支払う費用等が年間5兆円以上がある現実を見ればこの資金で空母等の艦船や防空システムの整備が出来るもので、国民がすでに負担している部分を入れ替えれば済む話だろう。
　腐った宦官政治家や官僚が米国に忖度してきた結果が、表向きの国債発行残高の増加や消費税に補機揚げに繋がっているものであり、保有する薄価の米国債券や外貨等を時価に変えれば負債など半減してしまうことだろう。
　与野党政治家の駆け引きも裏を見れば愚かな思考を持ったお遊びで無駄金を使って言葉遊びをしているに過ぎない。
　　　

　　

李強首相が中国株の安定化、不動産市場の活発化に向けた対策強化を指示

　中国の貿易を巡る米国との

　　　緊張激化の影響
から中国経済を守る狙いから
　　　李強首相
が18日に主宰した国務院の会合で政府当局者に対し、

　　　株式市場の安定化
　　　不動産市場の活発化
への取り組みを強化するよう指示したとの内容について、中国国営中央テレビ（ＣＣＴＶ）が報じた。

　李首相はまた、外部環境が複雑、困難な状況下で
　　　逆周期（カウンターシクリカル）措置
を強めるよう主張したうえ、消費を促進しながら、雇用と貿易の安定化を優先するための取り組みも求めた。

　中国は月内に共産党中央政治局会議を開催し、経済政策について議論する予定で、市場関係者がその内容に注目している。