中国中央政府の顔色ばかりをうかがい地位の上昇を模索してきた仕事が楽な割に給料が良く、福祉水準も高いとされてきた地方公務員たちが最近、土地転がしもできなく副収入が低下し大打撃を受けている。
無い袖が振れないため、さまざまな手当や補助金が削減、廃止されたほか、月給が10〜30%削られ、旧正月と年末に出てきた成果給も支給中断が続出しているという。
また、国策金融機関の中には支給済みの賞与を返納させるところもある。
緊縮財政の名目を全面に出してた支出を抑えろという注文も相次いでいる。
安徽省政府と江蘇省蘇州市政府は7月初め、夏の室内温度26度以上の維持、公務接待時の構内食堂利用、公用車8年25万キロ使用などの指針を管内の自治体に通達した。
状況がここまで悪化したのはカンフル剤として与えた金融政策に効果がなく
不動産バブル崩壊
による地方政府の税収減が主な要因という。
中国の地方政府はこれまでマンション用地を建設業者に売却した収入で予算の40%以上を調達していた。
不動産市場の低迷で売却収入が大幅に減り、財政が根本から揺らいでいる。
給料に充てる資金がない一部地方政府が管内の寺に借金をしているという話まで伝わってきた。
今年上半期の中国の国有地売却収入は1兆5263億元(約24兆9400億円)で前年同期を18.3%下回った。
不動産市場の低迷が本格化する以前の2019年上半期と比べると、減少幅は55.7%に達している。
2021年に土地売却収入が地方政府の財政収入に占める割合は42.5%に達した。
財政収入の半分近くを占める土地売却代金が55%以上も減れば、地方政府は
健全な財政
を維持できない。
広東省、浙江省、江蘇省など経済発展が進んだ沿岸部が最も大きな打撃を受けている。
中国地方政府の財政難は昨年から既に始まっており、数カ月間も賃金を遅配したり、賃金をカットしたりする地方政府が続出していた。
昨年9月、吉林省長春市九台区では退職教師に対する年金支給が滞り、元教師らが市政府庁舎に押しかけて抗議する騒ぎが起こった。
また、山東省浜州市傘下の地方政府では8カ月も賃金を支給できなかったところ出ている。
南京市高淳区政府も昨年8月、月給を払えず、近隣の江寧区政府から資金を(公安部門の嫌がらせをチラつかせるなど強制的に)借りて賃金を支給したというニュースがソーシャルメディアに掲載されました。
北京に近い天津市でも一部自治体の財政が枯渇している。
公共交通、清掃などを担当する政府機関の職員に給料を支払えなくなった。
住民は自由アジア放送(RFA)のインタビューに対し、「天津市では河北区など少なくとも4つの自治体は財政が厳しく、数カ月間給料を払えない状況だ。ある公務員が管内にある大慈寺の住職に賽銭を借りようとしたが、寺側も事情が厳しいとして断ったという」と明らかにした。
こうした金詰まりの状況は今年に入ってさらに悪化している。
ポータルサイト「網易」では、あるブロガーは7月初め、「匿名を要求する上海財政局のある職員が上半期の財政報告書の収支を合わせるため、市内の静安寺、竜華寺、玉仏寺などの寺院から100億元の短期資金を借りたと語った。うち正安寺が48億元で最も多額の資金を貸した」と投稿した。上海市の財政当局は直ちに「フェイクニュース」だと否認しました。
しかし、資金源が途絶えた地方政府が寺院からお金を借りているという情報が絶えず流れている。
中国政府も地方の財政難を認めながら、解決策づくりに乗り出している。
中国共産党は今年7月、習近平政権3期目の経済政策を提示した
中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)
の決定文で、「消費税を段階的に地方政府に移転する」とし明らかにした。
李強首相は今年3月の全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で「各級政府はコスト削減に慣れなければならない」と指摘した。
中国では消費税は増値税(付加価値税)、企業所得税、個人所得税と並び中国の4大税目に挙げられいる。
酒類、たばこ、化粧品、貴金属、宝石、燃油、車両、ゴルフクラブ、高級時計、ヨット、電池などが課税対象となる。
主にぜいたく品や環境汚染の要因となる商品が課税されてきた。
中国の4大税目のうち、残る3つは中央政府と地方政府が分配しており、消費税は全て中央政府の歳入となってきた。
地方政府の財政難を解消するため、その消費税の一部を地方に移転しようと明らかにしたが、地方政府の役人が予算の一部をキックバックするため表に流れる真水は少ない。
なお、昨年の消費税収は1兆6100億元で、中国の税収全体の8.9%を占めている。
中国は税収全体の45%を中央政府、残る55%を地方政府で分け合う構造だが、財政支出は地方政府が全体の85%を占め、はるかに多いのが現状となっている。
教育、医療、養老年金など一般国民の生活と直結する支出は全て地方政府の役割として責任を転嫁している。
消費税を一部の地方に移譲したとしても、不動産問題が解決されない限り、財政難を解消するのは容易ではない。
地方政府はさまざまな対策を打ち出しており、蘇州市政府は高速鉄道が整備された地域に出張する際に公用車の使用を禁止し、公務上の接待も構内食堂を使うように指示したという。
安徽省政府は冬の暖房温度を20度以下、夏の冷房温度を26度以上とするよう通達した。
陝西省政府はオフィスのインテリア禁止令を出し、湖南省政府は公用車を8年、25万キロ以上使用するよう指示した。
ひとこと
中国共産党の独裁政治の末期的状態が出ているようだ。
中国の歴史を見ればこうした状況に気候変動が加われば、各地で反乱や農民一揆等が起こり王朝が倒れ大混乱となり、人口崩壊が繰り返されてきた。
同じ状況が起きそうだ。