米国のジャック・スミス特別検察官は27日、トランプ前大統領が
2020年の大統領選の結果を覆そうとした事件
をめぐり、トランプ氏に対する起訴状を改めて提出した。
最高裁による免責を認める判断を踏まえ、トランプ氏に対する起訴内容の一部を減らした形だ。
今年の大半においてトランプ氏の法的および政治的なストーリーは、司法を武器にしたバイデン政権による
陰謀の犠牲者
だという主張を通じて融合していた。
しかし、トランプ氏の弁護団が控訴手続きを利用して裁判の大半を延期することに成功したこと、あるいは機密文書を持ち出したとされた裁判は完全に棄却されたこと、そして民主党のハリス副大統領が新たな対立候補になったことで様変わりした選挙戦により、トランプ氏の裁判をめぐる苦境は影を潜めている。
検察ではトランプ氏に対して当初提起した4件の容疑についていずれも取り下げていない。
しかし、新たに修正した起訴内容は、トランプ氏の行為の一部を切り離している。
そのなかには、選挙に不正があったとする
虚偽の主張
について司法省を利用して広めようとしたという容疑が含まれている。
また、検察は、トランプ氏が選挙結果を覆そうとした計画に関する容疑の説明方法も調整している。
スミス氏の事務所は今回の起訴について「最高裁の判断と差し戻しを尊重し履行しようとする政府の努力を反映したものだ」と述べた。
今回の起訴により、トランプ氏が20年の選挙結果を覆そうとした問題は、今秋の選挙戦に向けた最後の重要な数カ月に再び注目を集めることになる。
最高裁による免責の判断を受けてもなお、トランプ氏を起訴しようとするスミス氏の決意は、トランプ氏が11月の大統領選に勝利して連邦訴訟を終わらせることのできる権限を取り戻すことにスミス氏が
個人的に大きな危機感
を抱いていることを浮き彫りにしているとの見方もある。
こうした事情に詳しい情報筋からの話によると、トランプ氏の弁護団は最高裁の判断を受け訴訟の次の段階を迎えるにあたり、今回のような起訴内容の修正を見越していたという。
この訴訟の審理は来月5日にターニャ・チャトカン判事の法廷で予定されていた。
一方で、これほど早く起訴内容が差し替えられたことは驚きだった。
トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」でスミス氏とこの訴訟について、ワシントンDCでの『死んだ』魔女狩りを復活させようと必死に、そしてメンツを保つために、違法に任命された『特別検察官』の狂ったジャック・スミスは私に対してばかげた新しい訴訟を起こした。この訴訟には以前の起訴内容のすべての問題が含まれており、直ちに却下されるべきだと激しく非難した。