金融当局は政策政策ミスを犯したか？

　プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフ・グローバル・ストラテジスト
　　　シーマ・シャー氏
は顧客向けリポートで７月の米雇用統計について、米金融当局は政策政策ミスを犯したのか。労働市場の減速は一段と鮮明に実体化している。９月の利下げは決定的で、米金融当局はまたしても後手に回っていないよう祈るばかりだろう。

　　

米経済がリセッションの初期段階にあることを歴史的に示唆してきた0.50の基準値を突破

　ＢＭＯキャピタル・マーケッツのストラテジスト
　　　イアン・リンジェン氏

は顧客向けリポートでサーム・ルール指標は、米経済がリセッションの初期段階にあることを歴史的に示唆してきた0.50の基準値を突破した。当社では９月18日の政策決定会合までに、なお多くのデータ発表がある点に留意している。８月もこうした雇用のトレンドが加速すれば、50ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）利下げは説得力を増すだろう、とはいえ、当社では現時点では依然として25ｂｐの利下げを見込んでいる。

　　　　

米国の雇用統計の数字は雇用の急減速を反映

　トレードステーションの
　　　デービッド・ラッセル氏

は顧客向けリポートで米国の雇用統計の数字は雇用の急減速を反映しており、昨日の失業保険申請件数の弱さを裏付けている。インフレに対して後手に回っていた米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）が、今度は景気減速に対して後手に回ることになるかもしれない。９月18日はすぐにはやってこない。

　　

コーネリアス・ヴァンダー・スター(Cornelius Vander Starr) 上海のCVスター＆カンパニー（後にスター・カンパニーズとして知られ、保険大手AIGとなった）の創設者

コーネリアス・ヴァンダー・スター

　　　　　　　　　(Cornelius Vander Starr)

　　　1892年10月15日 - 1968年12月20日

　米国の実業家でニール・スターとも呼ばれている。

　中国上海のCVスター＆カンパニー（後にスター・カンパニーズとして知られる）の創設者

　同社は保険大手AIGとなった。

　スターはオランダ系の両親のもとに生まれた。

　父親は鉄道技師だった。

　スターは1910年から1911年までカリフォルニア大学バークレー校に通ったが、中退して故郷のカリフォルニア州フォートブラッグに戻った。

　そこで彼は19歳の時にアイスクリームの販売という最初のビジネスを始めた。

　スターは1918年にアメリカ陸軍に入隊したが、第一次世界大戦が終わっていたため海外に派遣されることはなかった。

　その後、世界を旅して理解したいという強い衝動に抗えず、横浜で

　　　太平洋郵便汽船会社

に事務員として入社した。

　その年の後半、彼は上海に赴き、いくつかの保険会社で働いた。

　1919年、彼は中国の上海で、当時はアメリカン・アジアティック・アンダーライターズ（後のアメリカン・インターナショナル・アンダーライターズ）として知られていた世界的な保険・投資会社を設立した。

　1939年、中国大陸で日本軍と蒋介石が率いる国民革命軍との間の戦闘が激化したため、彼は事業所をニューヨークへ移転せた。

　スターは第二次世界大戦中、戦略諜報局に勤務した。

　1943年にウィリアム・「ワイルド・ビル」・ドノバンと共に

　　　OSS保険情報部

を設立し、元米陸軍航空隊将校

　　　クレア・L・シェンノート

の背後で主任諜報員を務めるなどの仕事に従事した。

　シェンノートは、OSSが資金提供した米国義勇軍（通称「フライング・タイガース」）を調整し、宣戦布告なしに日本軍への無差別爆撃などを実行するなど、中国で蒋介石総統を再び米軍の支配下に置いたことで最もよく知られている。

　そうした関係もあり、スターとOSSは後に、共産党指導者毛沢東よりも蒋介石を支持した。

　2000年、戦争特派員で作家の

　　　マーク・フリッツ

は、ロサンゼルス・タイムズ紙に「秘密の（保険）エージェントの男たち」と題する記事を書いた。

　彼らは、どの工場を焼き払うべきか、どの橋を爆破すべきか、どの貨物船を良心的に沈められるかを知っていた。

　侵略に使う道路の穴の数や、焼却対象に指定された街区の人数も把握していた。

　彼らは単なる秘密諜報員ではなく、秘密保険のエージェントでもあった。

　これらの潜入保険業者は、第二次世界大戦のスパイマスターに、資金援助と、最終的には

　　　アドルフ・ヒトラー

の第三帝国の崩壊を助けた世界的な産業へのアクセスを与えてもいる。

　第二次世界大戦後、スターはOSS大尉で弁護士の

　　　ダンカン・リー

を雇い、リーは長期にわたってAIGの顧問弁護士となった。

　AIGは1949年初頭、毛沢東率いる共産党人民解放軍が上海に進軍したため中国から撤退した。

　スターは本社を現在のニューヨーク市に移転した。

　AIGは世界最大の保険会社であり、2021年現在もその点では比類のない存在として君臨している。

　1955年に彼はCVスター財団を設立し、1968年に死去した際に8桁の小額とブリュースターの自宅を姪に譲り渡した。

　その後、全残余財産をこの財団に遺贈した。

　また、近親者のためにいくつかの信託を設立した。

　財団は設立以来、教育、医療とヘルスケア、人々のニーズ、公共政策、文化、環境の分野で世界中で38億ドル以上の助成金を提供した。

　　　　

金相場の下落は主としてリスク資産の売りに起因する

　オンティックス・コモディティーズの投資家ソリューションズ責任者
　　　マシュー・シュワブ氏　
は顧客向けリポートで「金相場の下落は主としてリスク資産の売りに起因するものだ」と指摘した。
　また、「他での損失を相殺するために売られる。これは全体的なポジション清算だ」と続けた。

　金融市場全般に広がった動揺が金市場にも波及した形だが、米金融当局によるハト派的な動きが強まれば、いずれ金相場には消費拡大による追い風になるとの見方もあるが時間差が常に生じるため強弱まちまちで動きは荒くなる。

　　　

大きな疑問はこのままリセッション（景気後退）に突入するのか、それとも単に景気の一時的な悪化局面にあるのかだ。

　カーソン・グループの
　　　ライアン・デトリック氏
は顧客向けリポートで「大きな疑問はこのままリセッション（景気後退）に突入するのか、それとも単に景気の一時的な悪化局面にあるのかだ。リセッションはまだ避けられそうだが、リスクは高まっている」と話した。

　　

MKS スイス・ジュネーブに拠点を置く貴金属の取引業者

MKS ・ SA

　スイス・ジュネーブに拠点を置く貴金属の取引業者

　グループでは、約1,500人の従業員を雇用している。

　MKSはロンドン貴金属市場協会(LBMA)の会員であり、その子会社PAMPは1987年以来、金融サービス業界で品質の指標として広く認められているLBMAのゴールドリストに掲載されている。

　　

　商社としてのMKS ・ SAの顧客には、銀行やファンドマネージャーなどの金融サービス業界の組織、金鉱山会社や宝飾品メーカーなどの商品加工業者が含まれる。

　MKSの子会社であるPAMP（Produits Artistiques Metaux Precieux）は、スイスのティチーノ州カステルサンピエトロに拠点を置き、金、銀、プラチナ、パラジウムを加工する精錬所である。

　この精錬所では、精錬した貴金属から延べ棒、コイン、メダルを生産するほか、半製品を宝石商や時計メーカーに提供している。

　小売パートナーにはハロッズがあり、ロンドンの旗艦店にある銀行で顧客にPAMPの鋳造製品を提供しています。

　
　1979年にレバノンの金取引業者

　　　マフムード・カセム・シャカルチ

によってスイスで設立されたため、MKSという名前が付けられた。

　シャカルチの息子と娘が1983年に共同で会社の経営を引き継ぎ、それ以来、会社は世界12か国15のオフィスにスタッフを配置するまでに拡大した。

　MKSは1981年にPAMP SAを買収し、宝石商、大手銀行、投資銀行、中央銀行に金の延べ棒を供給し始めた。

　PAMP SA (Produits Artistiques Métaux Précieux) は、MKSグループの一員で、独立系で運営されている世界有数の貴金属精錬・加工会社。

　1977年にスイスのティチーノ州で設立され、鉱山からのドレの収集から、バーやその他の製品の分析、ヘッジ、世界中への配送まで、貴金属の垂直統合サービスを提供している。

　同社は12.5キログラムから1グラムまでの完全な地金バーを製造し、50グラム以下の金バーの世界市場をリードしている。

　PAMPは、同社とMMTC Ltdとの合弁会社であるMMTC-PAMPを通じてインドでも事業を展開している。

　
　MKSはメディアで金取引の専門家として頻繁に引用されており、ブルームバーグ、 ビジネスウィーク 、フィナンシャルタイムズ、 ロイター、サンフランシスコクロニクルなどの金融メディアが引用している。

　　　

NY原油市場は週間ベースで４週連続で下落 バレル７５ドル割れ

　原油先物相場は続落した。
　国際的な指標である北海ブレント先物は77ドルを割り込み、約７カ月ぶりの安値に沈んだ。
　世界の２大経済大国である米国と中国での需要に対する懸念が強まったことが背景。

　原油市場のセンチメントは今週、米中の製造業景況指数がともに低下したのを受けて悪化している。
　７月米雇用統計が予想を下回ったことで、原油市場での売りは一段と強まった。

　需要懸念を背景に原油先物は週間ベースでは４週連続で下落した。
　昨年12月以来の長期下落局面となった。

　供給面では、石油輸出国機構（ＯＰＥＣ）と非加盟産油国で構成するＯＰＥＣプラスが１日に合同閣僚監視委員会（ＪＭＭＣ）を開催し、10月以降に減産幅を縮小する方針を維持している。
　ただ当局者らは、減産幅縮小は必要に応じて停止または撤回できると主張している。

　ニューヨーク商業取引所（ＮＹＭＥＸ）のウェスト・テキサス・インターミディエート（ＷＴＩ）先物９月限は
　　　１バレル＝73.52ドル
と前日比2.79ドル（3.7％）安で終了した。
　また、ロンドンＩＣＥの北海ブレント10月限は2.71ドル（3.4％）下げて76.81ドルで引けた。

　　　　

市場で織り込み強まるもＦＲＢは0.5ポイント利下げには消極的との見方

　７月の米雇用統計が弱い内容となったことから、米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）は既に利下げを待ち過ぎているとの懸念が強まっている。

　しかし、警戒シグナルを発しかねない大幅利下げが９月に実施される可能性は低い。

　７月は雇用者数の伸びが大幅に減速し、失業率はほぼ３年ぶりの水準に上昇した。

　雇用統計を受け、ＪＰモルガン・チェースやシティグループなどウォール街の一部大手行は、ＦＯＭＣが９月の会合で0.5ポイントの利下げに踏み切ると指摘し、従来の予想を変更した。
　また、金利先物市場では９月の50ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）利下げ、さらに12月の50ｂｐの追加利下げを十分織り込んでいる。

　パウエルＦＲＢ議長の下、ＦＯＭＣは緊急時のみ大幅な金利調整を行ってきた。2020年３月の最初の２週間では、新型コロナウイルス感染が米経済に打撃を与え始める中で1.5ポイント利下げし、政策金利をゼロ近辺とした。22年には、インフレ高進に直面する中で0.5ポイントと0.75ポイントの利上げを実施した。

　　　

米金融当局が１つの統計に過剰反応することはない

　 米国シカゴ地区連銀の

　　　グールズビー総裁
は、米金融当局が１つの統計に過剰反応することはないと強調し、次回のＦＯＭＣ会合までに多くのデータが得られると付け加えた。

　今週のＦＯＭＣ会合後の記者会見でも、パウエルＦＲＢ議長が同様の発言を行っていた。

米大手銀行が弱い雇用統計受けＦＲＢの積極的な金融緩和を予想

　バンク・オブ・アメリカ（ＢｏｆＡ）とシティグループ、ゴールドマン・サックス・グループでは７月失業率の上昇を受けて、エコノミストが米金融政策予測を修正した。

　予想される利下げ開始の時期を前倒しし、利下げ幅見通しを引き上げた。

　　

米国金融市場では米国債利回りが大幅に下げた。

　米国債はこれで７営業日続伸となった。
　市場は今年１ポイントの利下げを完全に織り込んだ。

　金利の動きに敏感な２年債利回りは一時31ベーシスポイント（ｂｐ、１ｂｐ＝0.01％）低下した。
　全年限で利回り低下幅は16ｂｐを超え、指標の10年債利回りは約3.8％まで下がった。