1980年代の債券市場に革命をもたらした「トータルリターン」戦略だが、そのパイオニアであるパシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の共同創業者
ビル・グロース氏
は2日に発表した展望リポートの中で、トータルリターン戦略のコンセプトを作り出した当時と違い、今の利回りはかなり低く、値上がりする余地が小さくなっていると指摘した。
また、現在の10年債利回りは約4.6%だが、ピークだった1981年には16%近かったため、この戦略は「死んだ」と宣言した。
は2日に発表した展望リポートの中で、トータルリターン戦略のコンセプトを作り出した当時と違い、今の利回りはかなり低く、値上がりする余地が小さくなっていると指摘した。
また、現在の10年債利回りは約4.6%だが、ピークだった1981年には16%近かったため、この戦略は「死んだ」と宣言した。
グロース氏は当時、利回り収入の安定に注目する同業者と一線を画し、デュレーションやクレジットリスク、ボラティリティー(変動性)をアクティブにコントロールしながらリターンの最大化を目指す「トータル・リターン・ファンド」を創設した。
利回り収入だけでなく、
相場変動に伴う債券の値上がり益
も投資家に提供するという考えだった。
利回り収入だけでなく、
相場変動に伴う債券の値上がり益
も投資家に提供するという考えだった。
グロース氏は10年債利回りは債券強気派の低下期待を裏切り、向こう1年で5%を超えて上昇する可能性が高いと予測した。
米国政府が市場に国債を溢れさせているのが背景にあるためだという。
米国政府は借り入れ中毒になっており、経済の活況を維持するために国債の発行残高を年間で純額2兆ドル増やさざるを得なくなっているとも指摘した。
米国政府が市場に国債を溢れさせているのが背景にあるためだという。
米国政府は借り入れ中毒になっており、経済の活況を維持するために国債の発行残高を年間で純額2兆ドル増やさざるを得なくなっているとも指摘した。
「利回り低下を主張する人々は、国債の容赦ない供給増加と果てしない価格下落に立ち向かわなくてはならない」と述べ、「トータルリターンは死んだ。債券ファンドを買ってはならない」と、2019年に資産運用から退いた話した。
グロース氏が30年近く手がけたピムコ・トータル・リターン・ファンドは、最盛期には世界最大の債券ファンドと呼ばれるまでになった。
同氏自身は「債券王」としての名声を確固たるものにしたが、2014年に社内抗争が報じられる中、同社を去った。
同氏自身は「債券王」としての名声を確固たるものにしたが、2014年に社内抗争が報じられる中、同社を去った。