欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会はユーロ圏と域内の経済大国が、インフレ鈍化と堅調な雇用市場に支えられて10−12月(第4四半期)にプラス成長を回復しリセッションを回避するとの最新の予測を示した。
欧州委は15日発表した秋季経済見通しで、ユーロ圏の域内総生産(GDP)は7−9月に0.1%減少した後、10−12月は0.2%の増加に転じると予想した。
製造業の不振が長期化する中で他国より状況の悪いドイツも、景気後退を回避すると見込んだ。
製造業の不振が長期化する中で他国より状況の悪いドイツも、景気後退を回避すると見込んだ。
通年では0.6%成長と、9月時点で予想した0.8%から下方修正された。
また、2024年は1.2%、2025年には1.6%へと成長が上向くとし、欧州中央銀行(ECB)よりもやや楽観的な見通しを示した。
また、2024年は1.2%、2025年には1.6%へと成長が上向くとし、欧州中央銀行(ECB)よりもやや楽観的な見通しを示した。
今年の物価上昇率は平均5.6%で、24年は3.2%、25年には2.2%まで鈍化する見込み。来年についてはエネルギーと食料品の値上がりを織り込んで9月時点の予想から上方修正した。
欧州委は「それでも、非エネルギー消費カテゴリーに関連する物価上昇圧力は、おおむね前回予想に沿って解消に向かうと予想される。やや引き締まった資金調達条件、賃金の伸び鈍化、利益分配の正常化が寄与するだろう」と分析した。
インフレ率は先月に2.9%とピーク時の10%超から低下したが、ECB当局者は物価圧力が今後数カ月で再び上昇する可能性があるとして、油断しないよう警告している。
生活費の高騰と異例の金融引き締めは「事前に予想されていたよりも大きな打撃を与えた」ともは指摘した。
また、一部の域内主要国での公的債務削減の取り組みが滞っていると注意を促した。
イタリアの債務残高は今後2年でGDPの140%を超えるとみられ、フランスの債務比率も25年に上昇すると見込まれている。
イタリアの債務残高は今後2年でGDPの140%を超えるとみられ、フランスの債務比率も25年に上昇すると見込まれている。
当初はインフレに助けられた債務削減は、物価の伸び鈍化と借り入れコスト上昇、成長低迷によって厳しくなると指摘した。