日本郵船の曽我貴也次期社長は20日のインタビューで、ロシア産の液化天然ガス(LNG)などを積んだ船舶に事故などが発生して海運会社に賠償責任が生じた際、ロシア海域を運航する船舶向けの保険は条件が厳しくなっており、突然保険の提供がされなくなる可能性があると指摘した。
民間での対応には限界があるため、政府による補償の仕組みを構築するよう求め、国が補償を肩代わりする枠組みを導入するよう政府に対して働きかけを行っていることを明らかにした。
ロシア領海の船舶向けの保険を巡っては国内の損害保険大手3社が昨年末に2023年1月1日から戦争による被害を補償する保険の提供を停止する方針を示したため、官民が対応に追われる事態となった。
保険のリスクの一部を肩代わりする海外の再保険会社が引き受けを拒んだためだ。
なお、損保各社によるその後の交渉で保険の提供は継続できることになった。
保険のリスクの一部を肩代わりする海外の再保険会社が引き受けを拒んだためだ。
なお、損保各社によるその後の交渉で保険の提供は継続できることになった。
ウクライナに侵攻したロシアに対し、日本は欧米諸国と協調して経済制裁を科している。
一方、エネルギーの安定供給を維持するためロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」からのLNG輸入を続けてきた。
一方、エネルギーの安定供給を維持するためロシア極東の石油・天然ガス開発プロジェクト「サハリン2」からのLNG輸入を続けてきた。
昨年はLNG輸入の1割弱(約687万トン)をロシア産が占めており、船舶保険の提供が停止すればロシア産LNG供給が滞り、日本は割高な代替調達を余儀なくされる恐れはある。
曽我氏は国内電力・ガス会社の中にはサハリン2がLNG調達の大部分を占める企業もあり、万が一供給が止まれば大きな影響が出るとした。
日本政府から「何とか継続するようにお願いされているし、我々としてもこれを運ぶのは日本の生活を守る意味での使命だと思っている」と主張した。
日本政府から「何とか継続するようにお願いされているし、我々としてもこれを運ぶのは日本の生活を守る意味での使命だと思っている」と主張した。
政府が再保険を肩代わりする仕組みには前例があり、核開発疑惑を巡る経済制裁でイラン産原油の取引に関わる再保険の提供がされなくなる恐れがあったため、日本は12年6月に政府が民間企業に代わって再保険を引き受ける特別措置法を施行した。
一方、海運業界では新型コロナウイルス感染拡大に伴う巣ごもり需要の拡大などで好調だったコンテナ船事業による恩恵が特需終了と共に終わりを迎えつつあり、収益の確保からの思惑といった見方もある。
日本郵船も今期(23年3月期)は1兆円の純利益を見込むが、来期は市場予想が2385億円となるなど事業環境は大きく変わる可能性が高い。
日本郵船も今期(23年3月期)は1兆円の純利益を見込むが、来期は市場予想が2385億円となるなど事業環境は大きく変わる可能性が高い。
曽我氏は、今期業績や来期の予想は社内で精査中のため具体的な数字を示すことは難しいが、来期純利益は市場予想の水準に「割と近いかもしれない」と続けた。
コンテナ船事業次第で同水準からぶれる可能性があるとした上で、詳細な来期の業績見通しは5月に予定する決算発表時に明らかにしたいと述べた。
コンテナ船事業次第で同水準からぶれる可能性があるとした上で、詳細な来期の業績見通しは5月に予定する決算発表時に明らかにしたいと述べた。
また、足元のコンテナ船のスポット(随時契約)運賃は一部の会社には赤字になる水準で、今後はそういった会社が供給を減らしていくと見込まれ、また、需要面では米国で家具などの過剰在庫が今後解消していくことに伴い、荷動きは今夏以降に正常化すると予想しているとのこと。
日本郵船は今月公表した新たな中期経営計画で2000億円規模の自己株式の取得などの株主還元の拡大を盛り込んだものの発表直後に株価が下落した。
この動きに対し、長沢仁志社長は株価下落に「大ショック」を受けたと述べ、曽我氏も4月1日に社長に就任する前に市場の厳しい洗礼を浴びる格好となった。
この動きに対し、長沢仁志社長は株価下落に「大ショック」を受けたと述べ、曽我氏も4月1日に社長に就任する前に市場の厳しい洗礼を浴びる格好となった。
曽我氏によると、同中計ではM&A(合併・買収)などのため1400億円を投じると話した。
同金額は「マネジメントアロケーション」として経営側に裁量を任せてもらう枠と位置づけており、M&Aだけでなく追加の投資や株主還元を行うこともあり得ると曽我氏は述べた。
同金額は「マネジメントアロケーション」として経営側に裁量を任せてもらう枠と位置づけており、M&Aだけでなく追加の投資や株主還元を行うこともあり得ると曽我氏は述べた。
ひとこと
日本のエネルギー政策の転換点の一つになる。
日本の原発を全て底質のウランが使用できる3.5世代の原発に早急に入れ替えれば、都心部近くでも原発の設置が可能となり、定検工事も不要となり維持管理費の大幅低減でエネルギーコストが急激に引き下げることが出来る。
3.5世代の原子炉の技術は日本企業が保有しており、この技術は金のなる木であり安価に手に入れようと国際資本があらゆる手段を用いて工作しているのが現状だ。
こうした取り組みには国際資本の権益でもある原油、天然ガス、石炭などの利権の阻害要因となり、環境保護派を全面に出し、市民団体への影響力の行使などあらゆる手法を使って阻止する動きが過去の例からも出てくるだろう。
特に、与野党政治家やマスコミを使っての世論誘導で原発アレルギーを引き起こさせる悪巧みには警戒が必要だ。