中国政府が新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を突然撤回したことで、国民の間には複雑な感情が広がるとともに、感染爆発が各地で起きている。
白紙革命による解放感から3年ぶりに海外旅行を計画する人もいれば、感染拡大を懸念する人もいる。
ソーシャルメディアの微博(ウェイボ)には、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)後の「数年でわれわれはあまりにも多くのものを失った」とのコメントが投稿された。
中国版ツイッターと呼ばれる微博では27日、入国者に義務付けてきた
隔離措置
を来年1月8日から撤廃するとの政府発表がトレンド入りした。
このコメントを投稿したユーザーは「みんなの一日も早い回復を願うとともに、誰もが自由に呼吸し、行きたい場所に自由に行けるようになることを願っている」と記述もしている。
ただ、コロナ政策の急転換後、感染は急拡大し、北京や上海では医療体制がすでに逼迫し、コロナ感染による死者の激増などもあり葬儀場も機能不全に陥っている。
ゼロコロナ政策前の生活を取り戻したいという願いとは裏腹に、コロナまん延に対する懸念も強まっており、自由化にともなう災いを意図的に引き起こし、国民世論の誘導を目論んだ習近平政権の権力の集中を工作する動きにも見える。
別の微博ユーザーは「国内感染は依然として増加している」と指摘し意識誘導の種を埋める交錯に利用しやすい環境を作り上げたり、政府への直接的な言及を避けたうえで「明らかに全員を感染させようとしているのではないか」と疑念を呈するなど左右両端からの動きが激化しそうだ。
ゼロコロナ政策は、ロックダウン(都市封鎖)や頻繁な集団検査、渡航制限などを柱としていた。
習近平が率いる政府はこうした厳格な対応の説明として、コロナの危険性を2020年から繰り返し国民に訴えてきた。
ゼロコロナ政策が国民を疲弊させ、経済活動に打撃となっていたにもかかわらず、全時代を無事に切り抜けることを最優先した中国共産党の習近平総書記(国家主席)はつい10月半ばまで、ゼロコロナ政策を一貫して擁護してきた。
ゼロコロナ政策に反発した市民は街頭に繰り出して抗議行動を開始したうえ11月下旬にこの動きが中国各地に広がった。
全人代を乗り越えた習近平率いる政府は12月7日、コロナ規制を大きく緩和する流れにかじを切った。
コロナとの「共生」に向け決定的な一歩を踏み出し、26日になると国家衛生健康委員会が渡航制限を緩める方針を発表し、世界的な孤立からの脱却に向け動きを加速したが、その方向の先に見えるのは膨大な数の死亡者だろう。
なお、 「1カ月前はまだゼロコロナに固執し、人民を第一に考えると言っていたが、1カ月後には完全に『躺平(寝そべり)』状態になり放任だ」との投稿に続き、「そう、それは最適化と呼ばれるものだ」とつぶやいた微博のユーザーもいた。
中国のインターネットでは昨年、「躺平」という言葉が広がった。
過酷な競争から離脱し、手の届く楽な生活で満足しようという若者たちのスローガンだが、当局はこうした若者たちの考えをこれまで批判していた。
posted by まねきねこ at 08:00| 愛知 |
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